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§ 2017年7月5日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

スウェーデンの規制当局が原子力廃棄物基金への2018~2020年拠出単価の試算値を公表

スウェーデンの規制当局である放射線安全機関(SSM)は、2017年6月30日付のプレスリリースにおいて、原子力発電所の廃止措置、放射性廃棄物の処分等に係る基金(原子力廃棄物基金)への拠出金の単価について、政府(環境省)への提案に先立って、原子力発電事業者等の見解を聴取するため、2018~2020年に適用される単価の試算値を公表した。SSMは、原子力発電電力量1kWh当たりの平均で、現行の拠出単価である4.0オーレ(0.48円)に対して、2018~2020年の拠出単価を6.4オーレ(0.77円)とする試算結果を示している。

表 原子力廃棄物基金への拠出単価の変化
原子力発電所  2015~2017年の拠出単価
(2014年政府決定額)
 2018~2020年の拠出単価
(SSM提案)
 フォルスマルク  3.9オーレ/kWh  4.5オーレ/kWh
 オスカーシャム  4.1オーレ/kWh  8.0オーレ/kWh
 リングハルス  4.2オーレ/kWh  6.8オーレ/kWh

拠出単価が増加する主な要因は、原子力発電事業者が計4基の原子炉を早期に閉鎖するとしている運転計画の変更である。現行の拠出単価(2015~2017年に適用)が設定された2014年時点では、3カ所の原子力発電所(フォルスマルク、オスカーシャム及びリングハルス)において原子炉10基が運転されていたが、その後、電力需要の低迷や運転コストの増加を背景として、原子力発電事業者が計4基の原子炉を早期に営業運転を終了する方針に転じている。オスカーシャム原子力発電所の3つの原子炉のうち、出力増強工事のために停止していた2号機は再稼働せずに2015年12月に閉鎖されたほか、1号機も2017年6月17日に閉鎖された。また、リングハルス原子力発電所の1、2号機は、それぞれ2020年6月、2019年7月に営業運転を終了する予定である。これらの早期に閉鎖される原子炉の廃止措置の開始が早まることにより、オスカーシャムとリングハルスの各原子力発電事業者に適用される拠出単価が大幅に増加する結果となっている。

■資金確保制度の改定

今回の放射線安全機関(SSM)による原子力廃棄物基金への拠出単価の提案では、政府が2017年6月1日付でスウェーデン議会(国会)に提出した資金確保法令の改正案の内容を織り込んだ形で試算を行っている。現行の法制度では、原子炉運転期間40年までに発生する使用済燃料や放射性廃棄物を処分するために必要な費用に基づいて、原子力発電会社ごとに発電電力量1kWh当たりの拠出単価を決定する仕組みであるが、今回のSSMの試算では、原子炉運転期間を50年として拠出単価を試算している。

スウェーデンでは、今後2020年頃に運転中の原子炉の多くが運転期間40年を超過する。こうした状況から、SSMは、2016年10月14日に取りまとめた政府への報告書において、資金確保制度で想定する原子炉運転期間を50年に引き延ばす提案を行っていた。SSMは今回の拠出単価の試算に先立ち、原子力発電事業者が共同出資して設立したスウェーデン核燃料・廃棄物会社(SKB社)に対し、原子炉運転期間を40年と50年とした2ケースについて、それぞれの原子炉運転終了時点までに発生する使用済燃料と放射性廃棄物の発生量を評価し、それらの処分に必要となる将来費用をSSMに報告するように指示した。これを受けてSKB社は、将来費用の算定結果を2016年12月に報告書「プラン2016」としてSSMに提出していた。

なお、スウェーデンにおいては、資金確保制度で想定する原子炉運転期間(現行の制度では40年)を超えた以降に発生する使用済燃料等の処分費用については、原子力廃棄物基金への拠出金の支払いとは別に、原子力発電事業者が国に担保を預ける義務が導入されている。今後、資金確保制度で想定する原子炉運転期間を50年に改正された場合、従来は担保として預け入れていた資金は、今後、政府が決定する拠出単価に基づいて基金へ拠出する形に変わることになる。

【出典】

(post by sahara.satoshi , last modified: 2017-07-05 )