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《スウェーデン》SKB社がRD&Dプログラム2016を公表:使用済燃料の処分開始を2030年に設定

スウェーデンの使用済燃料処分の実施主体であるスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は2016年10月3日付けのプレスリリースにおいて、「放射性廃棄物の管理及び処分方法に関する研究開発実証プログラム2016」(以下「RD&Dプログラム2016」という)1 を取りまとめ、放射線安全機関(SSM)に提出したことを公表した。SKB社はRD&Dプログラム2016において、使用済燃料処分場の建設開始を2020年、実際の使用済燃料を収納したキャニスタを処分する試験操業の開始を2030年とする処分事業計画を示している。

使用済燃料の最終処分に向けた実施計画(SKB社 RD&Dプログラム2016より作成)

使用済燃料の最終処分に向けた実施計画(SKB社 RD&Dプログラム2016より作成)

使用済燃料の処分に向けて、SKB社は、2006年11月にSSMに対してオスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書を、2011年3月にはSSM及び土地・環境裁判所に対してフォルスマルクにおける使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書を提出している。SSM及び土地・環境裁判所はそれぞれ、SKB社による建設許可申請を認めるか否かに関する意見書を政府に提出することとなっており、SSMは意見書の提出は2017年内になるとの見通しを示している。SKB社がRD&Dプログラム2016で示した処分事業計画は、政府の許可発給が2018年に行われると想定したものとなっている。

SKB社は、今後の放射性廃棄物の処分事業計画に関して、原子力発電所の運転計画の変更を受けた使用済燃料の中間貯蔵容量の確保、並びに原子炉の廃止措置から発生する放射性廃棄物の処分容量の確保の重要性が高まっていることを指摘している。2015年にスウェーデンの原子力事業者2社は、東京電力(株)福島第一原子力発電所事故を受けた規制強化によるコスト増のほか、電力需要の低迷予測を受けて、2020年までにオスカーシャム原子力発電所1、2号機、リングハルス原子力発電所1、2号機の計4基の営業運転を終了するよう運転計画を変更している。SKB社は、使用済燃料の集中中間貯蔵施設(CLAB、1985年操業開始)の貯蔵容量を8,000トンから11,000トンに引き上げる申請を2015年3月に行っているほか、短寿命低中レベル放射性廃棄物処分場(SFR、1988年操業開始)を拡張する申請も2014年12月に行っている。SKB社は、SFRでは処分できない長寿命低中レベル放射性廃棄物の処分場(SFL)を2045年に操業開始するよう準備を進めており、それまでの期間においては、原子力発電所の廃止措置で発生する廃棄物の一部は、SFR内または原子力発電所敷地内で貯蔵する計画としている。

RD&Dプログラム2016に対するSSM等のレビュー

SSMは、2016年10月3日付けのプレスリリースにおいて、SKB社のRD&Dプログラム2016を受理したこと、RD&Dプログラム2016に対する意見募集を行うため、政府機関、大学・研究機関、原子力施設のある自治体、環境団体など約70の関係機関に送付したことを公表した。意見の募集期間は2016年12月31日までとされており、収集した意見を取りまとめた後、SSMはRD&Dプログラム2016に対する意見書を、2017年3月31日までに政府に提出するとしている。

【出典】

  1. RD&Dプログラムとは、使用済燃料を含む放射性廃棄物の安全な管理・処分、及び原子力施設の廃止措置に関する包括的な研究開発などの計画であり、原子力活動法に基づいて原子力発電事業者が3年毎に策定するよう義務づけられているものである。原子力発電事業者4社の委託によりSKB社が取りまとめを行っている。 []

(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-10 )