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《韓国》中・低レベル放射性廃棄物処分場の第1段階施設が竣工

韓国の中・低レベル放射性廃棄物処分場である「月城(ウォルソン)原子力環境管理センター」の第1段階施設(地下空洞処分施設、処分量10万本)の竣工式が2015年8月28日に行われ、一般市民を含む1,000名以上が参加した1 。竣工式では、来賓による地下空洞処分施設の視察や、本事業の功労者44名の表彰が行われた。なお、本施設では2015年7月13日より廃棄物の処分を開始している

韓国では、中・低レベル放射性廃棄物処分場と使用済燃料の中間貯蔵施設を同一サイトに立地するとした当初の放射性廃棄物管理政策が見直され、2004年12月に、2つの施設の建設を分離して推進する政策が策定された。その後、地域振興策を含めたサイト選定に関する法制度が整備され、中・低レベル放射性廃棄物処分場の誘致に応じた4自治体の中から、住民投票で最も賛成率が高かった慶州市が、2005年11月に中・低レベル放射性廃棄物処分場のサイトとして決定された。第1段階施設の竣工までの経緯は以下に示すとおりである。当初は2010年6月の竣工(工期53か月)を予定していたが、2009年、2012年にそれぞれ竣工予定を延長し、総工期は最終的には90か月に及んでいる。総工費は1兆5,436億ウォンである。

なお、第2段階処分施設(浅地中処分、処分量12万5千本)の建設事業は2019年までの竣工を予定している。

月城原子力環境管理センター第1段階施設の竣工までの経緯
2007年7月 電源開発事業実施計画公示
2008年7月 中・低レベル放射性廃棄物処分施設建設・操業許可発給
2008年8月 工事着工
2009年6月 竣工予定を2010年6月から2012年12月に変更
2010年1月 処分事業主体が韓国水力原子力株式会社(KHNP)から韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC)(現 韓国原子力環境公団(KORAD))に移管
2012年1月 竣工予定を2012年12月から2014年6月に再変更
2014年6月 施工完了
2014年12月 使用前検査承認
2015年7月 廃棄物処分を開始(2015年7月13日、ドラム缶16本を処分)

また、韓国政府は月城原子力環境管理センターの立地にあたり、一般支援事業として2007年から2035年までの間、55事業、総額3兆2,253億ウォンの支援を、さらに特別支援事業として3事業の実施および特別支援金3,000億ウォンの支給を約束している。支援事業はおおむね計画通りに推移しているが、遅れが生じている一部の大型事業6件については、「中低レベル放射性廃棄物処分場の誘致に関する特別法」により設置された誘致地域支援委員会に正常化計画を2015年末までに上程し、改善策を講じていくとしている。

一般支援事業の進捗状況(2015年8月時点)
総事業件数および総予算 完了済件数及び執行済予算 進行中件数及び状況

55件
3兆2,253億ウォン

28件
1兆7,165億ウォン

27件
うち6件の大型事業については2015年中に正常化計画を上程予定

特別支援事業の進捗状況(2014年末時点)
項目 状況

韓国水力原子力株式会社(KHNP)の本社移転

2015年末までに完了予定

特別支援金(3,000億ウォン)

2006年5月執行済

陽子加速器事業

総事業費3,143億ウォン(国庫1,836億ウォン、地方費1,067億ウォン、民間125億ウォン)のうち、国庫・民間支援分を執行済

放射性廃棄物搬入手数料

年間約46億ウォン(ドラム缶1本あたり637,500ウォン)

継続事業

 

【出典】

 

【2016年7月29日追記】

韓国原子力環境公団(KORAD)は2016年7月26日、中・低レベル放射性廃棄物処分場である「月城(ウォルソン)原子力環境管理センター」の第2段階施設(浅地中処分)の建設に関して、産業通商資源部(MOTIE)から電源開発事業実施計画の承認を受けたことを公表した2

電源開発事業実施計画の承認により、処分施設の建設に必要な手続きのうち、国土開発事業、道路工事、農地転用等の関連法令に関する手続きが完了し、KORADは公共施設(道路、電気、水道施設等)の設置や処分施設建設予定地の整地工事などの基盤整備工事に着手する。なお、今後、KORADが第2段階処分施設自体を建設するには、別途、原子力安全委員会(NSSC)から原子力安全法に基づく建設許可を取得する必要がある。

【出典】
• 韓国原子力環境公団 2016年7月26日付プレスリリース、
https://www.korad.or.kr/krmc2011/user/community/report/report_main.jsp?mode=read&idx=250&rnumValue=248

• 電源開発促進法

  1. 韓国政府からは国務総理、産業通商資源部第二次官が、立地自治体からは慶尚北道(キョンサンプクド)知事、慶州(キョンジュ)市長が、また、電気事業者からは韓国水力原子力株式会社(KHNP)社長が参列している []
  2. 電源開発事業実施計画の承認手続きは、電源開発促進法に定められた原子力施設の建設に必要な手続きのひとつである。同法第3条等の規定により、放射性廃棄物管理事業者である韓国原子力環境公団(KORAD)が建設する放射性廃棄物処分施設は電源設備の付帯施設と位置づけられており、同法の適用を受ける []

(post by eto.jiro , last modified: 2023-10-11 )