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《フランス》地層処分場の設置許可申請スケジュールの変更等に関する法律が成立

フランスで2015年7月9日に、地層処分場の設置許可申請スケジュールの変更、可逆性の定義、パイロット操業フェーズの導入等に関する規定を含む「成長、活動、経済機会の平等のための法律」が成立した。本法律の制定に伴って、2006年放射性廃棄物等管理計画法において規定されていた「可逆性のある地層処分」の処分場の設置許可申請時期が2015年から2017年に改定された。また、2006年放射性廃棄物等管理計画法での多くの規定が取り込まれている環境法典が改正され、「パイロット操業フェーズ」が正式に導入されることとなった。

フランスでは、2006年放射性廃棄物等管理計画法及び環境法典において可逆性のある地層処分場の設置について規定されており、2006年放射性廃棄物等管理計画法では、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2015年に地層処分場の設置許可申請書を提出することが規定されていた。一方、設置許可申請書の提出に先立って、2013年5月から約7カ月間にわたって公開討論会が開催されており、ANDRAはこの結果をふまえ、2014年5月に、地層処分プロジェクトの継続に関する新たな方針を示し、設置許可申請スケジュールの変更や、パイロット操業フェーズの導入等を提案していた。今回下院で最終可決された法律には、これらのスケジュール等を変更する規定が含まれている。なお、2006年放射性廃棄物等管理計画法では、2015年に設置許可申請書が提出された後、政府が地層処分の可逆性の条件を定める法案を提出することになっているが、今回の法律により、環境法典に可逆性の定義が盛り込まれた。今後、政府は、パイロット操業フェーズが終了した後の操業中を対象として、地層処分場の可逆性の実施に関する条件を定める法案を策定することとなる。

今回下院で最終可決された「成長、活動、経済機会の平等のための法律」では、可逆性のある地層処分場について以下のような内容が規定されている。

  • 2006年放射性廃棄物等管理計画法に規定された地層処分場の設置許可申請時期を2015年から2017年に変更する。
  • 環境法典に以下の内容を規定する。
    -「可逆性」とは、将来世代にとって、段階的な地層処分の実施に際して下される決定の見直しが可能であることである。可逆性によって、一定の期間中に地層処分場内に定置済の廃棄物パッケージを回収する可能性が担保されるとともに、当初設計に基づく処分場を将来の選択に合わせて変更することが可能となる。
    -地層処分場の可逆性の原則については少なくとも10年に1度の頻度で見直す。
    -操業者は、地層処分場における実地試験を実施し、地層処分場の可逆性と安全性の立証を強固にすることを目的としたパイロット操業フェーズを導入する。このフェーズにおいては、全ての廃棄物パッケージは容易に回収できる状態で維持されなければならない。このフェーズにおける試験には、廃棄物パッケージの回収試験も含まれる。
    -デクレ(政令)による設置許可の発給後、原子力安全機関(ASN)がパイロット操業フェーズの操業を許可する。
    -パイロット操業フェーズの結果については、ANDRAが報告書をまとめるとともに、ASN及び国家評価委員会(CNE)が見解を提示する。さらに公衆意見聴取の対象区域内に全部又は一部が所在する地方公共団体に対する意見聴取を行う。
    -ANDRAの報告書はASN及びCNEの見解とともに、議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出される。OPECSTはANDRAの報告書について評価し、放射性廃棄物管理政策を担当する議会上下両院の委員会に、評価作業を報告する。
    -政府は今後、可逆性の条件に代えて、パイロット操業フェーズの終了後の操業中における地層処分場の可逆性の実施に関する条件を定める法案を策定する。
    -操業中の地層処分場の可逆性の実施に関する条件を定める法律の公布後、ASNは地層処分場の全面的な操業の許可に関する見解を表明する。法律に定められる可逆性の実施に関する条件を満たしていない場合、全面的な操業は許可されない。

当初、政府は、現在も議会で審議中の「グリーン成長のためのエネルギー転換に関する法案」において、地層処分場の設置許可申請スケジュールの変更等について規定する方針であったが、最終的に2014年6月に下院に提出された法案には、規定は盛り込まれなかった。また、今回可決された「成長、活動、経済機会の平等のための法律」は上下両院における2回の審議を経て、下院で最終可決されたものである。

 

【出典】

(post by eto.jiro , last modified: 2023-10-11 )