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§ 2015年1月30日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

米国テキサス州で使用済燃料の中間貯蔵施設の建設計画を地元自治体が承認

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米国テキサス州のアンドリュース郡の理事会(commissioners court)は、2015年1月20日に、低レベル放射性廃棄物のWCSテキサス処分場のサイトにおいて、使用済燃料の中間貯蔵施設を建設するとのウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社の計画を支持することを決議した。WCS社は、2014年12月1日に、中間貯蔵施設の建設計画に関する地元向けの説明会において、地元の支持が得られることを前提として、2015年に原子力規制委員会(NRC)に対して使用済燃料の中間貯蔵施設の建設許可申請を行うことを表明していた。

アンドリュース郡の理事会決議では、中間貯蔵施設の建設計画を支持する理由として、以下の点を挙げている。

  • WCSテキサス処分場は、170名以上の雇用に加え、低レベル放射性廃棄物の処分料金の5%と設定された収入が今後も年間3百万ドル(約3億2,000万円)見込まれるなど、経済効果が大きい
  • 情報提供や意思決定プロセスへの参加を含め、WCS社が住民や環境への責任を果たしてきている
  • 使用済燃料の集中中間貯蔵施設は、「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)からも迅速な開発が勧告され、テキサス州においても個々の原子力発電所での貯蔵よりも効率的などと評価されている

また、理事会決議においては、テキサス州政府や州選出の連邦議会議員に対して、中間貯蔵施設の建設計画への支持・承認の表明などの施設建設に向けて関係組織等が協力すること、及びアンドリュース郡が連邦政府から施設立地に係るインセンティブを受けられるよう支援することを要請している。

米国では、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分は連邦政府の責任であるとされており、同法の規定に基づいてエネルギー省(DOE)が原子力発電事業者らと契約を締結し、1998年1月31日からDOEが民間の使用済燃料の引き取りを開始することが決められている。しかし、地層処分場の開発が遅れているため、DOEは使用済燃料の引き取りを行っておらず、原子力発電事業者からの訴訟により連邦政府による賠償金支払いが行われている。

ブルーリボン委員会の勧告を受けて2013年1月に公表されたDOEの「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(以下「DOE戦略」という)、及び連邦議会上院で検討されていた「2013年放射性廃棄物管理法」の法案では、既に廃止措置された原子力発電所サイトで貯蔵されている使用済燃料を対象として、パイロット規模の中間貯蔵施設を直ちに建設し、DOEが引き取りを開始することが提案されていた。また、2013年放射性廃棄物管理法の法案及びDOE戦略では、中間貯蔵施設の建設に際しては、同意に基づくサイト選定プロセスにより、立地地域への便益の供与を含めた協定の締結を行うものとされていた。なお、2013年放射性廃棄物管理法の法案では、パイロット規模の中間貯蔵施設は、民間による建設も可能とされていた。

一方、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)では、エネルギー長官に対して、監視付き回収可能貯蔵(MRS)施設1 と呼ばれる中間貯蔵施設の立地・建設・操業を行う権限を認めているが、地層処分施設の建設の許認可が発給されるまで中間貯蔵施設の建設を開始できないことが規定されている。米国では、現政権によるユッカマウンテン計画の中止の方針などもあって処分場建設計画は遅れているため、現時点でDOEが民間の使用済燃料の引き取りを行うためには、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)のさらなる修正が必要とされている。

今回の中間貯蔵施設の建設が予定されているWCSテキサス処分場は、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法に基づいて、テキサス州及びバーモント州で構成されるテキサス・コンパクトの低レベル放射性廃棄物処分場として2011年11月10日に操業が開始された。現状では、他の州やDOEからの低レベル放射性廃棄物も受入れており、2014年には処分容量の拡大とともに劣化ウランの処分も許可されている。また、WCS社は、テキサス州の低レベル放射性廃棄物関連規則に関して、連邦政府が処分責任のあるクラスCを超える低レベル放射性廃棄物(GTCC廃棄物)について、処分を可能とするための規則の修正を州当局に求めている。

なお、今回のアンドリュース郡理事会の決議に対し、原子力エネルギー協会(NEI)は、2015年1月28日のニュースリリースにおいて、同郡の理事会決議の概要とともに、WCS社が使用済燃料の中間貯蔵施設の建設・操業許可申請の意向通知の提出を近日中に行う予定であることなどを伝えている。

【出典】


  1. 監視付き回収可能貯蔵(MRS、Monitored Retrievable Storage)施設は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料を監視付きの回収可能性を有する中間貯蔵施設に長期貯蔵することが、安全・確実な管理の選択肢であるとし、エネルギー長官に中間貯蔵施設の設置に係る権限を与えている。http://energy.gov/downloads/monitored-retrievable-storage-background []

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2015-02-10 )