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《米国》NRCが使用済燃料の継続貯蔵に関する連邦規則を承認

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2014年8月26日付のニュースリリースにおいて、使用済燃料の継続貯蔵(continued storage of spent nuclear fuel)による環境影響に関する連邦規則を承認するとともに、連邦規則が発効した後、一時的に中断していた原子炉の許認可発給・更新について再開することを公表した。今回承認された連邦規則は、NRCの原子炉等の許認可手続における環境影響評価について定めた10 CFR Part 51「国内許認可及び関連規制機能に対する環境保護規則」の第23条(a)である。

2012年6月の連邦控訴裁判所の判決において、2010年のNRCによる「廃棄物保証」規則の改定を無効とし、NRCに対して地層処分場が建設されない場合の使用済燃料の継続貯蔵が環境に影響を与える可能性の検討及び使用済燃料プールの漏えいと火災をさらに分析するよう指示していた。今回のNRCによる承認は、これに対するNRCの対応が完了したものとされている。なお、NRCは、2012年9月に、判決に対応した包括的環境影響評価書(Generic Environmental Impact Statement、GEIS)の作成及び連邦規則等の再改定については、24カ月以内に完了することとしていた

今回のプレスリリースによると、使用済燃料の継続貯蔵に関する連邦規則は、運転許可期間を過ぎた原子炉サイトにおける使用済燃料の貯蔵が環境に与える影響に関して、包括的環境影響評価書(GEIS)の知見を採用したものであるため、使用済燃料の継続貯蔵による一般的な環境への影響は、個別の許認可における環境に関する審査において再度分析する必要はないものとされている。なお、GEISは、運転許可期間を過ぎた原子力発電所において貯蔵されている使用済燃料が環境に与える影響について、60年(短期)、短期シナリオ終了後の100年(長期)、及び無期限の3つの時間枠で分析しているが、今回承認された連邦規則は、原子力発電所における使用済燃料の無期限の貯蔵を承認するものではないとされている。

なお、今回の連邦規則及び包括的環境影響評価書(GEIS)の承認に際して、これまで使用されていた「廃棄物保証」という名称が、「使用済燃料の継続貯蔵」と改められた。これは、最終規則の実体や内容を正確に反映すべきであるという大多数のパブリックコメントを反映したものとされている。

【出典】

 

【2014年9月2日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2014年8月26日付けで承認した使用済燃料の継続貯蔵による環境影響に関する連邦規則及び包括環境影響評価書(GEIS)等について、委員会決定文書、原子炉等の許認可発給の再開に関する委員会命令文書等を公表した。

NRCの委員会からスタッフに対する指示文書では、使用済燃料の継続貯蔵に関する連邦規則10 CFR Part 51について、連邦規則案と包括環境影響評価書(GEIS)案の細かな記述修正のほか、連邦政府が使用済燃料の長期貯蔵に係る費用を負担する可能性があることをパブリックコメントへの回答に反映すること、包括環境影響評価(GEIS)の知見を原子炉等のサイト個別の環境影響評価で活用する際には透明性のあるアプローチを採用することなどが指示されている。

なお、使用済燃料の継続貯蔵による環境影響に関する連邦規則及び包括環境影響評価書(GEIS)は、全委員の承認投票により決定されたが、委員長の投票では、包括環境影響評価書(GEIS)での無期限貯蔵の評価において制度的管理が喪失した場合についても解析すべきとして、一部が不承認とされた。委員長が投票に添えたコメントでは、制度的管理が喪失した場合についても可能な範囲で定量的評価を行った上で最悪の事態を想定した結果を示すべきであり、それによりエネルギー省(DOE)によるユッカマウンテン処分場の補足環境影響評価書(SEIS)における「何もしない」オプションに対する評価を拡充することが可能になるなどの見解が示されている。

また、NRCが一時的に中断していた原子炉等の許認可発給の再開に関しては、許認可手続中の全申請者に宛てた命令が発行され、使用済燃料の継続貯蔵による環境影響に関する連邦規則が発効した時点で中断を解除することが正式に決定されている。

【出典】

 

【2014年9月22日追記】

米国の連邦官報で、2014年9月19日に、使用済燃料の継続貯蔵に関する連邦規則である10 CFR Part 51「国内許認可及び関連規制機能に対する環境保護規則」の改定を反映した最終規則が告示された。今回改定された連邦規則は、2014年10月20日に有効となる。

なお、使用済燃料の継続貯蔵に関する包括環境影響評価書(GEIS)の最終版については、2014年9月10日付けで、原子力規制委員会(NRC)のウェブサイトで公表されている。

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )