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《英国》原子力廃止措置機関(NDA)、エネルギー・気候変動省(DECC)が新規原子炉からの放射性廃棄物管理に関する報告書等を公表

英国の原子力廃止措置機関(NDA)は、2009年11月9日付プレスリリースにおいて、新規原子力発電所建設計画に基づき建設される原子炉からの放射性廃棄物及び使用済燃料の地層処分の可能性を評価した報告書を作成したことを発表し、同報告書を公表した。また、英国のエネルギー・気候変動省(DECC)は、2009年11月9日付プレスリリースにおいて、原子力発電を含むエネルギー・インフラに関する6つの国家政策声明書案を公表し、2010年2月22日までの期間、同案に対する意見募集を開始した。

原子力廃止措置機関(NDA)のプレスリリースによると、今回公表されたのは、フランス電力株式会社(EDF)及びAREVA社によって提案されている欧州加圧水型原子炉(EPR)、ウェスティングハウス社によって提案されているAP1000、それぞれの原子炉からの放射性廃棄物等の地層処分場での処分可能性を評価した2つの報告書である。

同プレスリリースによると、今回の評価は、2008年の原子力白書に示された要件を満たすために、原子力発電事業者が新規原子炉からの放射性廃棄物及び使用済燃料が地層処分場での処分に適しているかについての評価をNDAに依頼して行われていたものである。

公表された2つの報告書によると、事業者が提供した新規原子炉の運転及び廃止措置から発生する中レベル放射性廃棄物及び使用済燃料に関する情報、廃棄物のパッケージに関する情報を、NDAの廃棄物パッケージの基準及び仕様に基づき、処分への影響を評価したとしている。評価では、放射性廃棄物等の輸送、取り扱い、地層処分場への定置の安全性、処分システムの長期性能や、地層処分場の大きさ及び設計への影響が考慮された。評価結果に基づき、NDAは過去の廃棄物や現在の使用済燃料と比較した場合、新規原子炉からの廃棄物の処分によって新たな問題が生じることはないとしている。また、適切な処分場サイトにおいて、新規原子炉からの廃棄物及び使用済燃料は処分可能であると結論付けている。

また、エネルギー・気候変動省(DECC)のプレスリリースによると、今回公表された原子力発電に関する国家政策声明書案では、新規原子力発電所の必要性が示されるとともに、2008年6月の白書『放射性廃棄物の安全管理』に基づく処分プログラムの進展や原子力廃止措置機関(NDA)の処分可能性の評価などに基づき、新規原子炉からの放射性廃棄物を管理・処分するために効果的な方策が将来的に存在するという政府の見解も示されている。さらに、この政府の見解について国民が同意するかどうかも意見募集の対象とするとしている。この政府の見解は、2008年の原子力白書において示された、政府は新規原子力発電所の開発を認める前に、放射性廃棄物等を管理・処分するために効果的な方策が将来的に存在することを確認する必要があるという方針によるものである。

【出典】

  • 原子力廃止措置機関(NDA)、2009年11月9日付プレスリリース
    http://www.nda.gov.uk/news/disposability-assessment.cfm
  • 原子力廃止措置機関(NDA)、一般設計評価:ウェスティングハウスAP1000の運転による廃棄物及び使用済燃料の処分可能性評価の要約、2009年10月
  • 原子力廃止措置機関(NDA)、一般設計評価:欧州加圧水型原子炉(EPR)の運転による廃棄物及び使用済燃料の処分可能性評価の要約、2009年10月
  • エネルギー・気候変動省(DECC)ウェブサイト
    https://www.energynpsconsultation.decc.gov.uk/home/intro/
  • エネルギー・気候変動省(DECC)、原子力発電に対する国家政策声明書案、2009年11月
  • エネルギー・気候変動省(DECC)、エネルギー・インフラに関する国家政策声明書案に関する協議文書、2009年11月

(post by f-yamada , last modified: 2023-10-11 )