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§ 2014年5月30日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

フランス会計検査院が放射性廃棄物管理を含む原子力発電事業の費用に関する報告書を更新

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フランスの会計検査院(CDC)は、2014年5月27日付プレスリリースにおいて、放射性廃棄物の長期管理を含めた原子力発電事業の費用を検証した「原子力発電事業の費用に関する報告書」の更新版を公表した。

現在、フランスでは、2013年12月に国民議会に設置された「原子力発電の過去、現在、将来に係る様々な費用、原子炉の運転期間及び原子力発電とその商業利用に関する経済的、社会的、財務的影響等に関する調査委員会」(以下「調査委員会」という)が、原子力発電事業に関する費用について検証を行っている。この検証作業に用いる最新の費用算定結果を得るため、調査委員会は、2014年2月6日に会計検査院に対し、会計検査院が2012年に取りまとめた放射性廃棄物の長期管理を含む「原子力発電事業の費用に関する報告書」の内容を更新するよう要請していた1

今回の更新版の報告書において、放射性廃棄物に関わる今後の長期管理費用の試算総額は318億ユーロであり、2012年の報告書での284億ユーロに比べ増加している。ただし、会計検査院は、本試算は原子力発電事業者の計算に基づくものであり、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の試算額と大きく異なる等、信頼を欠くものであると評価しており、より金額が確からしい放射性廃棄物管理事業に係る費用の見積りを行うべきであるとの見解を示している。

さらに、会計検査院は、放射性廃棄物管理事業に備えるため原子力事業者が積み立てる引当金の算定に採用する割引率(将来費用の現在価値への換算係数)に関する提言を示している。フランスでは、「原子力債務の資金確保に関する2007年3月21日のアレテ(省令)」において、割引率に上限値を設定している2 。昨今の経済状況の変化を反映して2012年の割引率の値は小さくなっており、その結果、原子力事業者が引き当てるべき金額が増加することに繋がり、原子力事業者の負担となっている。2013年の割引率はさらに低下する見込みであったことから、原子力事業者と政府は、割引率の上限の設定方法に関する見直しを協議している。会計検査院は、この協議において早急に設定方法を決定すべきであると提言している。

なお、調査委員会は、原子力発電事業に関する費用に関する調査結果を取りまとめた報告書を2014年6月に提出する予定である。

 

【出典】


  1. 財政裁判所法典L132-4条では、会計検査院またはその地方裁判所の管轄下にある組織の運営について、議会財政委員会及び調査委員会から要請があった調査を会計検査院が実施することが規定されている。 []
  2. 「原子力債務の資金確保に関する2007年3月21日のアレテ(省令)」の第3条では、割引率の上限値について「当期の決算日において確認された固定金利タイプ30年満期国債金利(TEC 30)の直近48ヶ月の算術平均に1ポイントを加算したものに等しい」と規定されているが、経済状況の変化により国債金利が低下している。原子力事業者は同規定に基づいて、2012年まで割引率を5%に設定してきたが、国債金利の低下に伴い、割引率は5%を下回っている。 []

(post by yokoyama.satoshi , last modified: 2014-05-30 )