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《韓国》中低レベル放射性廃棄物処分場および使用済燃料中間貯蔵施設の立地候補地4ヶ所が選定される

2003年2月5日、韓国産業資源部(MOCIE)1 は中低レベル放射性廃棄物処分場および使用済燃料中間貯蔵施設の立地候補地4ヶ所を公表した。

  • 西海岸側:全羅北道にある高敞【コーチャン】、全羅南道にある霊光【ヨンクワン】
  • 東海岸側:慶尚北道にある蔚珍【ウルチン】と盈徳【ヨントク】

今後1年間、この4ヶ所において地質・環境調査および地域協議を実施し、政府・学術経験者・研究者・社会団体で構成される「サイト選定委員会」にて、最終的に2ヶ所(全羅から1ヶ所、慶尚北道から1ヶ所)を選定する予定である。選定された2ヶ所には、政府からそれぞれ300億ウォン(約30億円:1ウォン=約0.1円)および様々な地域共生プロジェクトが実施される。【出典1、2】

政府と韓国水力原子力株式会社(KHNP)は、候補地に選ばれた4地域以外の他の地域で今年中に自主的誘致申請がある場合、当該地域を優先的にサイト選定の過程に入れ、推進することを明らかにしている。【出典2】

韓国では、MOCIEが原子力発電所の建設・運転、中低レベル放射性廃棄物管理に関する責任を負っている【出典3】。またKHNPが、国家放射性廃棄物管理方針に基づき、放射性廃棄物管理およびプロジェクト推進の責任を負っている【出典4】。1997年に韓国科学技術部(MOST)からMOCIEに放射性廃棄物管理の責任が移管された後、MOCIEは新しい放射性廃棄物管理計画を策定した。同計画は、1998年に原子力委員会によって承認されている【出典3】

韓国では中低レベル放射性廃棄物処分場を2008年までに、使用済燃料については、中間貯蔵施設が建設される2016年まで、各原子力発電所にて貯蔵することとなっている【出典3】。現在、中低レベル放射性廃棄物はサイト内貯蔵されており、2008年には満杯となると見込まれている【出典1】。

候補地の選定過程

MOCIEおよびKHNPは、放射性廃棄物施設用地として200万m2(500エーカー)のサイトを確保するため、2000年6月から沿岸部に所在する46の地方自治体に対して公募を行った。公募は当初の締め切りが4ヶ月延長され、2001年6月末まで行われたが、誘致申請をする自治体はなかった【出典1、4】。

しかしながら、全羅北道にある高敞【コーチャン】、全羅南道の霊光【ヨンクワン】康津【カンジン】、珍島【チンド】、忠清南道の保寧【ポリョン】の5つの自治体において誘致申請を要求する住民請願が提起された。MOCIE側はこの動きを、有権者の過半数に近い住民たちが誘致賛成署名に参加している全羅南道の霊光と康津等に見られるように、過去の選定とは異なり、オープンで民主的な手続である「公募方式」により推進した結果、施設の必要性と安全性、施設誘致時の地域共生等に対して地元住民の受容性と理解度が大きく向上したためと評価している。【出典5】

2001年7月にMOCIEとKHNPは地方自治体の誘致申請に依存する現行の「公募方式」から、より積極的な「事業者主導方式」に転換する計画を示した。この「事業者主導方式」とは、事業者であるKHNPが誘致公募過程で得た教訓と施設の諸立地基準を考慮して、適切な候補地を選定した後、当該地方自治体と地元住民とに積極的に提案・協議する方式である。一方、計画において政府は「事業者主導方式」により事業を推進しても、オープンで透明性のある手続を通し、地方自治体と地元住民との十分な協議を行い、最適なサイトを選定するように最善を尽くすとしている。【出典5】

今回の「事業者主導方式」による候補地選定は、徹底した文献調査と分析、現地調査と各分野の専門家で構成された諮問委員会での検討を経て実施され、全5段階の過程に分けて進められた。【出典2】

第1段階では、臨海地域のうち244邑面(町村)単位の立地可能地域を選定した。第2段階では、各地域における地質適合性調査を行い、対象地域を108まで絞り込んだ。第3段階では、108の対象地域の中で、自然・人文・社会環境という条件上、好ましい20地域を選定した。第4段階では事業環境の観点から11地域を選定し、最終の第5段階では原子力発電所の地理的分布、放射性廃棄物輸送の容易性等を勘案し、東海岸と西海岸に各2ケ所ずつ、計4地域を候補地として最終選定した。したがって、今回選定された地域は、サイトの安全性および技術的な面で非常に優れた地域であるとされている。【出典2】

処分量・処分方法

中低レベル放射性廃棄物処分場には、まず200リットルドラム缶10万本を処分し、最終的には80万本を処分することになっている。処分方法については、サイト選定後に決定される。【出典4】

なお、韓国では現在原子力発電プラント18基(PWR運転中14基およびCANDU炉運転中4基)が稼働中、2基が建設中である。政府は今後の電力需要の増加に備えて、2015年までに更に8基を増設する予定である。原子力発電は韓国における最大の電力供給源であり、約40%の需要を賄っている。【出典1】

【出典】

  • 韓国産業資源部(MOCIE)2003年2月5日付けプレスリリース
  • 韓国産業資源部(MOCIE)広報官室、報道資料、2003年2月
  • 韓国科学技術部(MOST: Ministry of Science and Technology)ウェブサイト、 http://www.most.go.kr
  • 韓国水力原子力株式会社(KHNP)ウェブサイト、http://www.khnp.co.kr
  • 韓国産業資源部(MOCIE)広報官室、報道資料、2001年7月
  1. MOCIE:Ministry of Commerce, Industry and Energy []

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )