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《米国》DOEがユッカマウンテンプロジェクトの費用見通しを改定-トータル・システム・ライフサイクル・コスト(TSLCC)分析報告書及び拠出金妥当性報告書の改定版公表

米国の連邦エネルギー省(DOE)は、2008年8月6日のプレスリリースにおいて、ユッカマウンテンでの高レベル放射性廃棄物処分に係る費用見積り及び拠出金妥当性の報告書を改定したことを公表した。改定後の処分費用見積額は、2000年価格で793億ドル、2007年価格では962億ドル(約11兆3,000億円、1ドル=117円換算)とされており、2001年に公表された費用見積額と比べて38%の増加となっている。DOEからは、費用見積額の増加に伴う廃棄物発生者からの拠出金単価の改定は提案されていない。

今回改定されたトータル・システム・ライフサイクル・コスト(TSLCC)分析報告書で見積もられている処分費用は、1983年のプログラム開始から2133年の処分場閉鎖・廃止措置までの150年間に発生する費用総額である。処分費用見積額の内訳は、下記の通りである。

  • 2006年までの既支出額:約135億ドル(約1兆5,800億円)
  • 処分場の建設、操業、廃止措置:約548億ドル(約6兆4,100億円)
  • 廃棄物の輸送:約195億ドル(約2兆2,800億円)
  • プログラム管理等:約84億ドル(約9,800億円)

プレスリリースでは、費用見積額の増加の要因として、見積り対象の廃棄物量が約30%増加したこと、及び160億ドル(約1兆8,700億円)以上の物価上昇が織り込まれていることを挙げている。処分の対象となる商業用原子力発電所からの使用済燃料は、前回見積りの83,800トン(重金属換算、以下同)に対し、今回の見積りでは109,300トンに増加している。この使用済燃料の増加は、米国で運転中の原子力発電所の許認可期間延長によるものであり、この結果として輸送及び定置に要する期間もそれぞれ16年及び25年長くなる見込みとされている。

トータル・システム・ライフサイクル・コスト(TSLCC)分析報告書では、ユッカマウンテン処分場における処分容量は、1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)による70,000トンという制限があるものの、費用見積り上は1カ所の処分場で全ての廃棄物を処分する前提としていることが示されている。今回の見積りにおける廃棄物総量は、政府所有の廃棄物の12,800トンを含めると122,100トンとなる。

プレスリリースでは、廃棄物発生者から放射性廃棄物基金(NWF)に払い込まれている1kWh当たり1ミル(0.001ドル)という拠出金の単価は、今回の費用見積額の改定後も妥当であるとのDOEの判断も示されている。ただし、処分場の建設及び操業のために十分な年次予算が一貫して確保されない場合は、この拠出金妥当性の評価は維持できないとして、DOEが2度にわたって連邦議会に立法提案を提出したこの重要な課題について、今後も連邦議会に協力を求めていく意向であるとしている。

【出典】

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )