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《フランス》原子力安全機関(ASN)、地層処分プロジェクトの進捗に関する見解書を公表

フランスの地層処分プロジェクトに関して「2006年から2009年までの放射性廃棄物管理研究に関する成果報告書」で放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が作成したことを公表していた「2009年成果報告書」については、規制機関である原子力安全機関(ASN)等が操業上の問題点などを指摘していた。今般、ASNは、2013年12月6日付のプレスリリースにおいて、ANDRAが指摘事項に答えるために2012年末に提出していた報告書に対して、概ね妥当としながらも新たな指摘事項をまとめた見解書を公表した。ASNは、規制支援機関である放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)の評価意見もふまえて、今回の見解書を作成したとしている。

ASNは、今回の見解書において、地層処分場の安全性強化を目的としてANDRAが取り入れた以下の設計上の措置・配慮事項を挙げて、安全性の向上が図られていると評価している。

  • アクセス坑道等、地上と地下との連結部分の設計に関する操業中の処分場の安全性向上につながる措置の導入。
  • Ÿ地層処分場の火災リスクの管理に関する措置の導入。
  • Ÿ放射性廃棄物の処分関連の活動と、建設工事(放射性物質を取り扱わない作業)を同時に実施することに伴うリスクをより適切に管理するための設計の採用。
  • Ÿ地下施設内での廃棄体輸送手段の改善。
  • Ÿ中レベル長寿命放射性廃棄物の処分坑道に効率性の高い排気フィルターの採用。

一方、ASNは、ANDRAが採用している設計に関するオプションについては、放射性廃棄物等管理計画法において2015年に期日が定められている地層処分場の設置許可申請を見据えて、以下の検討を行わなければならないとしている。

  • Ÿ新たな水理地質学的モデルの基盤となる仮定やデータなど、安全性の立証に必要なデータの強化。
  • 設置許可申請時に、処分場の設計の際に採用されたシナリオ選択の妥当性の証明。
  • Ÿ半地下式の地上施設の設計について、火災、洪水のリスクの詳細検討。
  • アクセス坑道及び地下施設の中央部分を構成する主要坑道に加え、地下施設内の連結坑道においても全断面掘削機を使用することについて、地下施設や設備に重大な欠陥を生じさせるような影響がないかを確認するために必要な調査等の特定。

さらに、ASNは、地層処分場は約100年をかけて徐々に開発されていくことから、新たなユニットの建設・操業が既存のユニットに与える影響や、時間の経過とともに得られる新たな知見や技術等によって、設置許可申請時に想定した当初の設計を見直す可能性があること等を考慮すべきと指摘している。

 

【出典】

(post by yokoyama.satoshi , last modified: 2023-10-11 )