Top » 海外情報ニュースフラッシュ(全記事表示モード)

海外情報ニュースフラッシュ

海外情報ニュースフラッシュ

このWebサイトでは、諸外国における高レベル放射性廃棄物の最終処分や地層処分の計画の動きに注目し、 "海外情報ニュースフラッシュ"として 最新の正確な情報を迅速に提供しています。 ニュースフラッシュを発行した後も、記事トピックをフォローしています。必要に応じて、情報の"追記"を行っています。


英国の高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)1 は、2017年8月3日に一般的な条件における処分システム・セーフティケース(gDSSC2 )の2016年版(以下「2016年版gDSSC」という。)の報告書を公表した。RWM社は、想定しうる英国内の地質環境において、安全に地層処分を実施できると結論付けている。今回のgDSSC報告書は、英国政府が2014年8月に公表した白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』(以下「2014年白書」という。)に基づき、RWM社が実施している地質学的スクリーニングと並行かつ連動した形で取りまとめたものであり、2014年白書に基づく初期活動終了後に開始予定である地層処分施設の受入れに関心のある地域(コミュニティ)との協議において、提供される情報の一つとなる。

2016年版gDSSCは、地層処分施設への放射性廃棄物の輸送、地層処分施設の建設・操業、地層処分施設の閉鎖後という3つの段階に分けて、放射性廃棄物を安全に処分できることを立証する目的で作成された一連の文書であり(下記コラムを参照)、2010年12月に最初のgDSSCが取りまとめられた(以下「2010年版gDSSC」という。)。RWM社は今回の更新の主な理由として、2010年版gDSSCの策定のための基礎情報であった2007年版インベントリ及び地層処分対象となる放射性廃棄物を抽出した報告書「地層処分:2007年版抽出インベントリ」がそれぞれ2013年版に更新されたこと 、また、2014年白書において新規原子力発電所から発生する放射性廃棄物の追加等、地層処分される放射性廃棄物インベントリが更新されたことを挙げている。

2016年版gDSSCの主要成果

  • 想定しうる英国内の地質環境において、安全な地層処分が可能
  • 法律で規定された線量限度及び放射線防護基準を遵守してRWM社の地層処分施設を設計・建設・操業が可能
  • 通常作業における作業員への被ばく線量を法定限度以下に抑えた状況で、放射性廃棄物を地層処分施設に安全に輸送が可能
  • 地層処分施設の操業時のみならず閉鎖後も含め、長期間にわたる環境安全を確保する方法の立証が可能

また、RWM社は、今回公表した2016年版gDSSCが、前回2010年版と比較して、以下のような点において改善・進捗があったことから、地層処分施設の安全性が向上したと説明している。

  • 地層処分施設が設置される深度にある、母岩となりうる3種類の岩種(硬岩、粘土、岩塩)の定量評価
  • 放射性廃棄物インベントリに関する代替シナリオの検討
  • 原子力規制局(ONR)や国際原子力機関(IAEA)のガイダンスに沿った、将来的にRWM社が作成する地層処分施設の予備的安全報告書(PSR)の要件と、一般的な条件における操業セーフティケースの主要報告書(OSC)との整合
  • 廃棄体の劣化によって放出される放射性物質の挙動についての理解、地層処分施設の閉鎖後における臨界評価の改善、ガス評価におけるアプローチの策定などに関する知識ベースの改善

RWM社は、処分実施可能性の検討のために必要とされる限り、また、一般的な条件における地層処分施設の開発研究を進めるため、一般的な条件でのセーフティケース(gDSSC)を更新し続けるとしている。さらに、今後、地層処分施設の候補サイトが明らかになった際には、そのサイト固有のセーフティケースを作成するとしている。

2016年版gDSSC の目的と構成

一般的な条件でのセーフティケース(gDSSC)は、①gDSSCを構成する文書全体の構成、目的、主要成果を示した概要報告書(Overview)、②地層処分施設への放射性廃棄物の輸送、地層処分施設の建設・操業、地層処分施設の閉鎖後という3つの段階におけるセーフティケース報告書(Safety Cases)、③3つのセーフティケースの根拠となる評価報告書(Assessments)、④評価のために利用された基礎情報文書(System Information)で構成されている(下図参照)。

2016年gDSSCの文書校正

図:2016年gDSSCの文書構成

<2016年版gDSSCの目的>

  • 放射性廃棄物を安全に処分できることを立証する
  • 規制機関及び廃棄物発生者や原子力廃止措置機関(NDA)のようなステークホルダーとの協議に利用できる
  • 放射性廃棄物管理会社(RWM社)が廃棄物発生者に対して、廃棄物パッケージに関するアドバイスの根拠となること、及び廃棄物パッケージの処分可能性評価のための基礎情報となること
  • 地層処分施設の受け入れに関心のある自治体(コミュニティ)に情報提供を行うことで、サイト選定プロセスを支援する
  • 研究開発が必要な分野を特定し、RWM社の科学技術プラン3  の策定に資する
  • 地層処分施設の開発における明確な処分概念と設計に関する情報を提供し、サイト選定プロセスの早期段階において、潜在的な候補サイトの適合性を評価するための基礎情報となること
  • サイト固有の設計及びセーフティケースの開発を支援する情報となること

【出典】


  1. 原子力廃止措置機関(NDA)の完全子会社 []
  2. 英国における地質環境を想定し、サイトを特定しないで一般的な条件で作成した処分システム・セーフティケースであり、英語では generic Disposal System Safety Case と呼ばれている。 []
  3. 『科学技術プラン』はRWMによる地層処分のための研究開発の詳細内容が示されている。 []

スイスの連邦原子力安全検査局(Eidgenössisches Nuklearsicherheitsinspektorat, ENSI)は、2017年8月3日に、地層処分場プロジェクトにおけるENSIの役割を記したポジションペーパー「地層処分場の規制監督」を公表した。スイスでは、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づくサイト選定手続きが実施されており、現在、サイト選定第2段階にある。実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(Nationale Genossenschaft für die Lagerung radioaktiver Abfälle, NAGRA)の地質学的候補エリアの絞り込み提案について、今後、連邦評議会1 の承認プロセスを経て、2018年末までにサイト選定第3段階へ進む予定である。ENSIは、サイト選定第3段階においてNAGRAが実施するボーリング調査を含む地球科学的調査に対するレビューや安全評価報告書の審査を行うなど、今後のENSIの役割が拡大していくことを見据え、今回、地層処分場の規制監督を担うENSIの役割と姿勢をポジションペーパーとして整理したとしている。

ENSIは、地層処分場プロジェクトにおける自らの役割と姿勢について、以下の5つの基本方針を示している。

  • 基本方針1:地層処分場プロジェクトの特徴を踏まえた監督の実施
    ENSIは、地層処分場に対する監督を行う期間が、原子力発電所の場合よりもはるかに長期にわたることを踏まえた規制を実施していく。また、バックエンド関連の人材確保と育成は課題である。
  • 基本方針2:指針の策定と精緻化
    ENSIは、法令の要件を具体化する指針を策定し、安全目標や基本原則、安全基準を規定する。また、ENSIは、指針について、処分場の安全確保のための指針「ENSI-G03:地層処分場の設計原則とセーフティケースに関する要件」を2009年に策定しているが、こうした要件や規定内容の精緻化に取り組み、最新の科学技術水準に適合した基準値を適時に提示し、地層処分場の安全・技術面の規制枠組みを構築していく。
  • 基本方針3:実施主体との役割分担について
    実施主体は地層処分場の設置に関する提案を行う一方で、ENSIはそれらの提案を専門的見地から審査し、安全目標や基本原則、安全基準に適合しているかを評価する。
  • 基本方針4:ステークホルダーへの対応
    ENSIは、全てのステークホルダーから早期に安全上の疑問を受理し、これらの疑問点を考慮に入れて安全面の監督を行う。
  • 基本方針5:法整備への働きかけ
    ENSIは、地層処分に関連する法令の改正が必要であると判断した場合には、所轄官庁である環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)及び連邦エネルギー庁(BFE)に対して改正手続きを促す。

 

【出典】


  1. 日本の内閣に相当 []

フランスの原子力安全機関(ASN)は2017年8月1日に、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2016年4月にASNへ提出していた地層処分場の「安全オプション意見請求書」1 に関する見解案を公表した。ASNは、2016年11月の国際レビューチームの見解及び2017年5月の放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)の見解を踏まえ、今回の見解案を策定している。ASNは見解案について、9月15日まで意見を募集し、その結果を踏まえ、2017年10月に最終的な見解を出す予定である。

ASNは今回の見解案において、ANDRAが安全オプション意見請求書で示した廃棄物インベントリの特定方法について、十分なものであると評価しつつも、地層処分場の設置許可申請に際しては、将来における燃料サイクル政策やエネルギー政策の変化に伴う不確実性を考慮した予備的なインベントリを提出すべきとしている。

さらにASNは、ANDRAの地層処分プロジェクトに対し、安全オプション意見請求書の段階としては技術的に十分に高いレベルに達しており、過去にANDRAが提出したプロジェクトの進捗報告書に比べて、大きな進展が見られたと評価している。一方でASNは、以下のような問題点を指摘している。

ビチューメン(アスファルト)固化体について

処分坑道における火災を想定した対策として、ビチューメン(アスファルト)固化体の発熱反応を抑えるための研究を優先的に実施すべきである。ただし、これに先立って、ビチューメン固化体の特性を発生者が速やかに明確化することが不可欠である。

地層処分場の設計変更の可能性について

  • 地層処分場の閉じ込め機能を強化するため、放射性廃棄物の処分エリアと地上への坑道の位置関係等の設計を検討する必要がある。設置許可申請において採用される設計については、長期にわたる操業期間中の原子力安全や放射線防護を考慮し、異なるオプションの長所と短所に関する研究成果を提示して妥当性を立証しなければならない。
  • 操業中から閉鎖後に至るまで、地層処分場において想定される自然災害(特に、地震)のリスクのレベル及びそのリスクにさらされる機器や構造物の要件や挙動の解析方法を設置許可申請書に記載し、その妥当性を立証する必要がある。
  • 設置許可申請書の作成に際しては、廃棄体の内容物に影響を与えるほどの火災が地上施設において発生することを想定する必要がある。
  • 安全オプション意見請求書においては、処分場の操業中及び閉鎖後の安全性に関わるモニタリングに関する情報が限定的である。設置許可申請書においては、地層処分場のモニタリング戦略とその実施方法を記載し、妥当性を立証する必要がある。
  • 設置許可申請書における地層処分場の設計に関する記載内容に関して、想定される事故の発生後における処分機能の回復等、長期にわたる地層処分場の操業の安全上の課題を提示し、以下のような点を考慮していることを説明する必要がある。
    ・地層処分場の操業を継続できること
    ・事故により影響を受けた廃棄物を回収できること
    ・地層処分場の閉鎖作業を実施できること

 

【出典】


  1. 原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(2007-1557)の第6条に基づいて、事業者(ANDRA)は、処分施設の安全を確保するために採用したオプションの全部または一部に対する見解を原子力安全機関(ASN)に請求することができる []

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2017年7月18日付けのプレスリリースにおいて、地層処分場の設置許可申請書の提出が2019年半ばの見込みであることを公表した。これまでANDRAは、2016年7月に制定された「長寿命高・中レベル放射性廃棄物の可逆性のある深地層処分施設の設置方法を明確にした2016年7月25日付法律」に基づいて、設置許可申請を2018年中に行う方針であった。ANDRAは設置許可申請時期の先送りについて、安全要件を満たしつつ大幅なコスト削減を実現するための最適化や変動要因へ対処するためであり、計画変更以外の部分では、地元自治体や住民との協議など含め、プロジェクトは順調に進捗しているとしている。

今回のプレスリリースにおいてANDRAは、放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)から指摘を受けていた処分坑道での火災時の安全確保への対応について、2016~2018年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)に基づいて、補完的な安全性の実証に既に着手しており、IRSNの指摘にも対応できると説明している。ANDRAは2016年4月に地層処分場の「安全オプション意見請求書」1 を原子力安全機関(ASN)に提出しており、ASNの要請により評価を行った放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)は、2017年7月に、地層処分場の安全確保について全体として肯定的な評価を示した一方で、ビチューメン(アスファルト)固化体について、処分坑道で火災が発生した場合の安全確保が不十分であることを指摘していた

また、今回のプレスリリースにおいてANDRAは、ムーズ県、オート=マルヌ県の両県にまたがるサイトにおける地層処分場の建設について、一部の反対運動が激化し、ANDRAの施設だけでなく、周辺の企業や住人等にも被害が及んでいることについて遺憾の意を表明している。ANDRAは2017年6月22日付のプレスリリースにおいて、周辺の企業や住人等に被害をもたらすような反対活動は許容しがたいとして、関係当局に被害状況を報告するとともに、周辺住民等に対する国の支援を要請するとしている。

 

 

【出典】


  1. 原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(2007-1557)の第6条に基づいて、事業者(ANDRA)は、処分施設の安全を確保するために採用したオプションの全部または一部に関する意見を原子力安全機関(ASN)に請求することができる []

米国の環境保護庁(EPA)は、2017年7月13日に、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、適合性再認定の決定を行ったことを公表した。WIPPでは1999年3月から、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分をエネルギー省(DOE)が実施しているが、1992年WIPP土地収用法において、処分開始以降の5年毎に、廃止措置段階が終了するまで、連邦規則の要件に適合していることの認定を受けることが要求されている。前回は、2009年3月24日に適合性再認定申請書をDOEが提出し、2010年11月18日に適合性再認定の決定をEPAが行っていた。今回は3度目の適合性再認定になり、2014年2月の火災事故・放射線事象で操業が停止している中、DOEは2014年3月26日に適合性再認定申請書をEPAに提出していた

EPAが公表した適合性再認定の決定文書において、適合性再認定の決定は、DOEが提出した情報の詳細な審査、独自の技術的な解析、パブリックコメントに基づいて行われたことが示されている。また、本決定は、EPAの放射性廃棄物処分規則、WIPPの適合性基準の変更、WIPPにおける操業再開に関係するものではなく、DOEが引き続きWIPPの適合性基準の要件を満たしていることをEPAが確認したものとしている。また、EPAは、次回の適合性再認定の申請に向けて、DOEの技術的解析や説明根拠には改善の余地がある領域も確認されたとしている。

なお、EPAによる適合性再認定の決定は、決定文書の連邦官報での掲載をもって正式なものとなるが、決定の期限となる2017年7月13日までに連邦官報への掲載ができなかったため、署名済の決定文書をEPAのウェブサイトに掲載するとともに、関連文書を連邦政府の規制情報ウェブサイトにおいて公表した。適合性再認定の決定は、EPAがDOEによる適合性再認定申請書の完全性を確認して決定してから6カ月以内に行うものとされており、EPAは、2017年1月13日に、適合性再認定申請書の完全性の決定を行っていた

【出典】

図 フォルスマルクに建設予定の使用済燃料処分場のイメージ(SKB社提供)

フォルスマルクに建設予定の使用済燃料処分場のイメージ(SKB社提供)

スウェーデンにおける使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書の審理を行っているナッカ土地・環境裁判所(所在地 ストックホルム)は、2017年7月4日に、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が2011年3月に提出した環境法典に基づく申請書について、主要審理プロセスとなる口頭弁論を2017年9月5日から10月27日までの間の計22日で開催する旨の公告を行った。

SKB社は、KBS-3概念1 と呼ばれる処分概念を採用した使用済燃料の最終処分の実現に向け、2006年11月にはオスカーシャム自治体でのキャニスタ封入施設の建設許可申請書を、2011年3月にはエストハンマル自治体のフォルスマルクにおける使用済燃料最終処分場の立地・建設許可申請書を提出した 。現在、スウェーデンでは、使用済燃料最終処分場及びキャニスタ封入施設に関する許可申請として、環境法典及び原子力活動法の2つの法律に基づく3つの申請書の審査が並行して進められている(下記の囲みを参照)。

※使用済燃料処分場の実現に向けて審査中の申請書

①オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書
(2006年11月にSSMに提出済、2011年3月16日更新)…原子力活動法に基づく申請
②フォルスマルクにおける使用済燃料の処分場の立地・建設許可申請書
(2011年3月16日にSSMに提出)…原子力活動法に基づく申請
③使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書
(2011年3月16日に土地・環境裁判所に提出)…環境法典に基づく申請
口頭弁論カレンダ

口頭弁論カレンダ

今回、2017年9月に開催される口頭弁論は、環境法典に基づく使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請(上記囲みの③)の審理のために実施されるものである。口頭弁論のスケジュールについては、2017年9月5日から11日までの期間(8日間)はストックホルムで開催され、2017年10月2日から6日の期間(5日間)はオスカーシャム自治体において、2017年10月9日から13日の期間(5日間)はエストハンマル自治体で開催される。その後、2017年10月23日から27日までの期間(4日間)は再度、ストックホルムにおいて総括の意見陳述が行われる予定である。口頭弁論の結果に基づいて土地・環境裁判所は、SKB社が申請する処分事業を認めるか否かに関する意見書を政府に提出することになる。

口頭弁論の開催に先立って土地・環境裁判所は、SKB社が計画する処分事業に関係する規制・行政機関、地方自治体、環境団体などから意見書を収集している。このうち、原子力安全・放射線防護の規制機関である放射線安全機関(SSM)は、2016年6月に、SKB社は安全要件を遵守して処分場を建設する能力を有しているとする意見書を土地・環境裁判所に提出している

SKB社の処分事業に関しては、原子力活動法に基づく放射線安全機関(SSM)による審査も並行して行われている(上記囲みの①②)。SSMも政府に対して意見書を提出することになっており、土地・環境裁判所が政府に意見書を提出するのと同時期になるよう調整が図られることになっている。

土地・環境裁判所と放射線安全機関(SSM)から政府への意見書が提出された後、政府が判断を行うには、環境法典の規定により、地元のエストハンマル自治体とオスカーシャム自治体の議会がSKB社の計画する処分事業を承認していることが条件となっている。使用済燃料の処分場が立地されるフォルスマルクがあるエストハンマル自治体は、2017年4月に、自治体としての判断を行う際の参考とするため、住民投票を2018年3月4日に行うことを決定している。使用済燃料の処分事業の実施可否は、SSM及び土地・環境裁判所の意見書や自治体の承認を踏まえて、最終的に政府が判断することになる

【出典】


  1. KBS-3概念とは、スウェーデンで開発された使用済燃料の処分概念であり、使用済燃料を銅製のキャニスタに封入し、処分坑道の床面に掘削した処分孔に定置して、キャニスタの周囲を緩衝材(ベントナイト)で囲うというもの。本概念を検討した報告書の略称に由来しており、フィンランドも同様の概念を採用している。 []

スウェーデンの規制当局である放射線安全機関(SSM)は、2017年6月30日付のプレスリリースにおいて、原子力発電所の廃止措置、放射性廃棄物の処分等に係る基金(原子力廃棄物基金)への拠出金の単価について、政府(環境省)への提案に先立って、原子力発電事業者等の見解を聴取するため、2018~2020年に適用される単価の試算値を公表した。SSMは、原子力発電電力量1kWh当たりの平均で、現行の拠出単価である4.0オーレ(0.48円)に対して、2018~2020年の拠出単価を6.4オーレ(0.77円)とする試算結果を示している。

表 原子力廃棄物基金への拠出単価の変化
原子力発電所  2015~2017年の拠出単価
(2014年政府決定額)
 2018~2020年の拠出単価
(SSM提案)
 フォルスマルク  3.9オーレ/kWh  4.5オーレ/kWh
 オスカーシャム  4.1オーレ/kWh  8.0オーレ/kWh
 リングハルス  4.2オーレ/kWh  6.8オーレ/kWh

拠出単価が増加する主な要因は、原子力発電事業者が計4基の原子炉を早期に閉鎖するとしている運転計画の変更である。現行の拠出単価(2015~2017年に適用)が設定された2014年時点では、3カ所の原子力発電所(フォルスマルク、オスカーシャム及びリングハルス)において原子炉10基が運転されていたが、その後、電力需要の低迷や運転コストの増加を背景として、原子力発電事業者が計4基の原子炉を早期に営業運転を終了する方針に転じている。オスカーシャム原子力発電所の3つの原子炉のうち、出力増強工事のために停止していた2号機は再稼働せずに2015年12月に閉鎖されたほか、1号機も2017年6月17日に閉鎖された。また、リングハルス原子力発電所の1、2号機は、それぞれ2020年6月、2019年7月に営業運転を終了する予定である。これらの早期に閉鎖される原子炉の廃止措置の開始が早まることにより、オスカーシャムとリングハルスの各原子力発電事業者に適用される拠出単価が大幅に増加する結果となっている。

■資金確保制度の改定

今回の放射線安全機関(SSM)による原子力廃棄物基金への拠出単価の提案では、政府が2017年6月1日付でスウェーデン議会(国会)に提出した資金確保法令の改正案の内容を織り込んだ形で試算を行っている。現行の法制度では、原子炉運転期間40年までに発生する使用済燃料や放射性廃棄物を処分するために必要な費用に基づいて、原子力発電会社ごとに発電電力量1kWh当たりの拠出単価を決定する仕組みであるが、今回のSSMの試算では、原子炉運転期間を50年として拠出単価を試算している。

スウェーデンでは、今後2020年頃に運転中の原子炉の多くが運転期間40年を超過する。こうした状況から、SSMは、2016年10月14日に取りまとめた政府への報告書において、資金確保制度で想定する原子炉運転期間を50年に引き延ばす提案を行っていた。SSMは今回の拠出単価の試算に先立ち、原子力発電事業者が共同出資して設立したスウェーデン核燃料・廃棄物会社(SKB社)に対し、原子炉運転期間を40年と50年とした2ケースについて、それぞれの原子炉運転終了時点までに発生する使用済燃料と放射性廃棄物の発生量を評価し、それらの処分に必要となる将来費用をSSMに報告するように指示した。これを受けてSKB社は、将来費用の算定結果を2016年12月に報告書「プラン2016」としてSSMに提出していた。

なお、スウェーデンにおいては、資金確保制度で想定する原子炉運転期間(現行の制度では40年)を超えた以降に発生する使用済燃料等の処分費用については、原子力廃棄物基金への拠出金の支払いとは別に、原子力発電事業者が国に担保を預ける義務が導入されている。今後、資金確保制度で想定する原子炉運転期間を50年に改正された場合、従来は担保として預け入れていた資金は、今後、政府が決定する拠出単価に基づいて基金へ拠出する形に変わることになる。

【出典】

カナダサイト選定状況201706

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2017年6月時点)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2017年6月23日付で、サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズが実施されていたオンタリオ州のセントラルヒューロン自治体(右上図21番)とホワイトリバー・タウンシップ(右上図10番)を、サイト選定プロセスから除外したことを公表した。NWMOは、これら2地域ではプロジェクトに対する関心はあるものの、それぞれの地域内で地質工学的な調査を進める上で、十分な信頼感を住民に与えられるほどには関心・学習を拡大することができなかったとしている。 NWMOは、使用済燃料処分場の立地に好ましい1カ所のサイトを選定するためには、安全要件に合致する可能性がより高く、プロジェクト実施に対して地元住民が関心を持ち続けるための基盤を有する地域に絞り込んでいく必要があるとしている。 NWMOは、サイト選定プロセスに残っている7自治体において、現在進行中の第3段階第2フェーズのフィールド調査の中でボーリング調査の実施を予定している。これら7自治体を地理的な近さに応じて以下の4グループにまとめ、ボーリング調査の実施に向けた計画の策定を進めるとしている。

  • ホーンペイン/マニトウェッジ地域:処分場の立地に潜在的に適すると考えられるボーリング調査地点1カ所の特定に向けて、このエリアの住民と協力する取組みを計画している。技術的な適性があり、社会的に受け入れられるボーリング調査地点1カ所を特定できた場合には、初期ボーリングの掘削を2018年に開始する。
  • ヒューロン=キンロス/サウスブルース地域:処分場の立地に潜在的に適すると考えられる地点でのボーリング調査の前に、この地域の地質に関する理解の向上を図るため、複数の地点でボーリング調査を行う計画である。ボーリング掘削の時期や詳細は検討中である。
  • イグナス地域:初期ボーリング調査を2017年に開始する計画であり、先住民等との協力の下、「レヴェル底盤」(Revell Batholith)として知られている深成岩の地層の一部を対象とする調査地点を特定済みである。この調査地点は、処分場サイトとして技術的な適性があり、社会的に受け入れられる可能性がある。
  • エリオットレイク/ブラインドリバー地域:先住民の助言と参加を得て、地質学的・環境学的なマッピング調査を実施中である。初期ボーリング調査に関する計画は、その実施に関する判断を含めて2018年初めに決定する予定である。

NWMOは、第3段階第2フェーズのフィールド調査の途中段階でも、得られた情報に基づいて、適性が低いと思われる地域を除外していく考えであり、2023年には1カ所の好ましいサイトを選定する準備が整うとしている。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2017年6月16日付けプレスリリースにおいて、オルキルオトの地下特性調査施設(ONKALO)の深さ約420mでパイロットボーリングの掘削を4月に開始したことを公表した。パイロットボーリングは、処分場の主要坑道の掘削に先立って、ONKALOの地下部分から水平方向にボーリング孔を掘削するものであり、ボーリング孔と採取するボーリングコアサンプルを調査することにより、オルキルオトの地質と水理モデルを更新するための新たな情報が得られるとしている。これによって、岩盤の適合性が確認されれば、主要坑道の掘削を今夏の終わり頃から開始するとしている。

■統合作動試験を2022年頃に実施

ポシヴァ社は、処分場の操業許可申請前に、地下の実環境において、実際の処分操業で使用するキャニスタ搬送・定置装置、緩衝材定置装置等の機器・装置の統合作動試験(joint operation test)を2022年頃に行う計画である。この統合作動試験では、使用済燃料を収納したキャニスタは使用されない。プレスリリースによると、ポシヴァ社は統合作動試験に向けて、長さ60mの主要坑道と、長さ80mの処分坑道を掘削し、処分坑道において4本の処分孔を鉛直方向に掘削する計画である。

ポシヴァ社の現在の予定では、統合作動試験において、4つの処分孔へそれぞれ実物大の模擬キャニスタを定置し、その周囲に緩衝材(ベントナイト)を設置した後、処分坑道を埋め戻すまでの一連の運用性を試験し、検証する。埋め戻し後においては、処分孔を対象としたモニタリングは行わないが、処分孔周辺の地下水流動等のモニタリングを実施するとしている。

■ONKALOでの実規模原位置システム試験を2018年頃に実施

ポシヴァ社は、処分場の統合作動試験に先だって、ONKALO内において、実規模原位置システム試験(FISST:Full-scale In-Situ System Test)を2018年に実施する計画である。FISSTは、2本の試験処分孔に銅キャニスタ、ヒーターと緩衝材とを定置し、実証坑道の埋め戻し、実証坑道の入り口を塞ぐプラグを設置するものである。また、銅キャニスタ・緩衝材の設置、実証坑道埋め戻し等の作業には、機器・装置の試作機を使用するとしている。FISSTの結果を踏まえて、統合作動試験や実際の処分操業で使用する人工バリアや機器・装置の設計・製作を行う計画としている。

 

(参考)統合作動試験について

ポシヴァ社が3年毎に公表している原子力廃棄物管理プログラム(YJH-2012、YJH-2015)によると、ポシヴァ社は、地下特性調査施設(ONKALO)の実証坑道において、処分システムの部分的試験を実施し、機器、装置及び作業方法の詳細な運用を検証する。その後、処分システムの各段階をつなげて、部分的試験で承認される方法の適合性を分析するため、最終処分に関係する機器・装置及び作業方法の統合作動試験を実施する計画である。なお、統合作動試験は、地下の処分施設と地上のキャニスタ封入施設について、それぞれ個別に実施される。

YJH-2015報告書によると、2022年頃の開始を予定している統合作動試験では、地下の実環境で、実際の処分操業で使用するキャニスタ搬送・定置装置、緩衝材定置装置等の機器・装置を用いて、使用済燃料が封入されていない模擬の銅キャニスタを使用することを除いて、実際の操業条件で処分試験が行われるとしている。また、安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)から使用済燃料の取扱いに関する許可を得た後、2023年頃に使用済燃料の取扱いを含めた「原子力統合作動試験」を実施するとしている。

 

【出典】

スイスのジュラ州にあるモン・テリ岩盤研究所を管理するスイス国土地理院(swisstopo)は、岩盤研究所の坑道拡張工事を2017年6月15日に開始したことを公表した。モン・テリ岩盤研究所では、放射性廃棄物の地層処分や二酸化炭素の地中貯留に関連して、今後10年の計画として約50件の新規研究プロジェクトが計画されているが、既存坑道ではスペースが不足することから、既存部分の南側に全長約600メートルの坑道を新たに掘削する。

今回の坑道拡張工事の総費用は約400万スイスフラン(日本円で約4億5,200万円、1スイスフラン=113円で換算、以下同様)と見積っている。坑道拡張工事は2019年半ばまでに完了する見込みであるが、工事中にも坑道掘削による水理・岩盤力学的な影響を調べる試験(Mine-by Test)が実施される予定である。

モン・テリ岩盤研究所の概要

モン・テリ岩盤研究所は、高速道路の避難・管理用トンネルと周囲のオパリナス粘土層を利用して設置された国際共同研究施設であり、1996年以降、約150件に及ぶ試験が実施されている。複数回に及ぶ坑道拡張工事により2017年6月現在、モン・テリ岩盤研究所の坑道延長は約700メートルとなっている。スイスの放射性廃棄物処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)はモン・テリ岩盤研究所において、地層処分の候補母岩であるオパリナス粘土層中でのガスの拡散挙動、微生物の活動、母岩に対する熱影響に関する試験研究などを実施している。モン・テリ岩盤研究所における国際共同研究プロジェクトには、スイスを含めた8か国から以下の16の組織が参加しており、今回の坑道拡張工事の費用を分担するとしている。

  • スイス国土地理院(swisstopo、スイス)
  • 連邦原子力安全検査局(ENSI、スイス)
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA、スイス)
  • 原子力研究センター(SCK・CEN、ベルギー)
  • 連邦原子力管理庁(FANC、ベルギー)
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA、フランス)
  • 放射線防護・原子力安全研究所(IRSN、フランス)
  • 連邦地球科学・天然資源研究所(BGR、ドイツ)
  • 施設・原子炉安全協会(GRS、ドイツ)
  • 株式会社大林組(日本)
  • 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA、日本)
  • 一般財団法人電力中央研究所(CRIEPI、日本)
  • 放射性廃棄物管理公社(ENRESA、スペイン)
  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO、カナダ)
  • シェブロン・エネルギー技術社(Chevron Energy Technology ETC、米国)
  • エネルギー省(DOE、米国)

モン・テリ岩盤研究所には、これまでに総額約8,000万スイスフラン(約90億4,000万円)が投じられており、上記の16の組織も費用を分担してきた。

モン・テリ岩盤研究所の地下部分はジュラ州が所有権を有しているが、今回の坑道拡張工事についてジュラ州は2016年12月に、坑道拡張工事に必要な許可を発給していた。また、管理・操業者であるswisstopoは毎年、ジュラ州から研究プロジェクトの実施のための地下利用の許可を得ている。なお、モン・テリ岩盤研究所は研究施設として供用されており、将来にわたり放射性廃棄物処分場として利用されることはない。

mont-terri

モン・テリ岩盤研究所の位置

【出典】