諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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hlw:uk:chap5

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HLW:UK:chap5

英国

英国

5. 処分事業の資金確保

5.1 処分費用の確保(制度)

  • 英国では、放射性廃棄物の処分費用はその発生者が負担することとされています。廃棄物発生者である電力会社は、引当金として廃棄物処分費用を確保しています。
  • また、原子力廃止措置機関(NDA)は、地層処分場に関する費用の見積りを公表しています。これによると、総額で122億ポンド(約1兆4,900億円)の費用が必要とされています。(1ポンド=122円として換算)

処分費用の負担者

英国では、放射性廃棄物の発生者と所有者は、規制コストや自身、あるいは規制機関が行う関連研究のコストを含めて、廃棄物を管理・処分するコストを負担する責任があるとされています。また、放射性廃棄物の管理・処分に伴う債務をその発生前から見積っておき、それを満たす適正な資金を引き当てておかなければならないこととされています。


処分費用の確保制度

英国では、放射性廃棄物管理費用の確保のための公的な基金制度はありません。このため、英国で唯一の民間原子力発電事業者であるEDFエナジー社(2009年にブリティッシュ・エナジー社を買収)は、放射性廃棄物管理費用を引き当てています。2010年末時点では、4億8,600万ユーロ(約510億円)を引当金として確保しています。

一方、再処理施設や既に運転を停止したガス冷却炉を含め、原子力廃止措置機関(NDA)が所有する原子力施設の廃止措置費用や放射性廃棄物の管理費用は、NDAが行う地層処分事業の費用とともに、英国政府が負担(国税で負担)することになります。NDAは、それらの費用を原子力債務として評価しています。NDAは、廃止措置や廃棄物管理の事業を進めつつ、事業効率の改善を図ることで原子力債務の圧縮を図ります。2010年3月末時点での原子力債務の評価額は491億5,200万ポンド(約5兆9,970億円)、このうち地層処分場に関する債務額は38億4,400万ポンド(約4,690億円)となっています。


5.2 処分費用の見積もり

地層処分場に関する将来支出額の推移見込み
source: NDA Annual Report and Accounts 2007/08

2007年4月に地層処分の実施主体となった原子力廃止措置機関(NDA)は、2007年次会計報告書(2008年3月末)で地層処分場に関する費用見積りを公表しています。これによると、地層処分場に関する総見積費用(割引前の金額)は、2008年の価格で122億ポンド(約1兆4,880億円)です。このうち、NDAが支出する分は約83%(101億ポンド)、残りはNDA以外の処分場利用者が負担すべき金額としています。

NDAの2007年次会計報告書では、NDAが支出する将来費用を年あたり2.2%で割引した額を、原子力債務の評価額としています。地層処分場に関する2008年での評価額は34億ポンドでした。(1ポンド=122円として換算)。



備考:通貨換算には、日本銀行の基準外国為替相場及び裁定外国為替相場のレートを使用しています。

  • 1英ポンド=122円として換算


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hlw/uk/chap5.1332338904.txt.gz · 最終更新: 2012/03/22 18:02 (外部編集)