諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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hlw:uk:chap4 [2015/05/12 08:11] – [サイト選定プロセスの見直し] sahara.satoshihlw:uk:chap4 [2017/05/09 17:31] ss12955jp
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-~~bc:4.処分地選定の進め方と地域振興~~+~~ShortTitle:4.処分地選定の進め方と地域振興~~
 <WRAP pagetitle> <WRAP pagetitle>
 ==HLW:UK:chap4== ==HLW:UK:chap4==
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 {{anchor:c1}} {{anchor:c1}}
-====== 4.1  サイト選定プロセスの再検討 ======+====== 4.1  2014年白書に基づくサイト選定プロセスの状況 ======
  
 <WRAP round box> <WRAP round box>
 {{:wiki:付箋ポイント.png?100&nolink|ポイント}} {{:wiki:付箋ポイント.png?100&nolink|ポイント}}
-  * 英国政府は、カンブリア州西部の自治体がサイト選定プロセスから撤退したことを受け、現行のサイト選定プロセスの見直しを図るため、2013年9月に、サイト選定プロセスの改善に向けた協議文書『地層処分施設のためのサイト選定プロセスのレビュー』を公表しました。 +  * 英国政府は2014年7月、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設の設置に向けた新たなサイト選定プロセス等を示した白書『地層処分-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』を公表しました。新たなサイト選定プロセスでは、大きく2つの期間に分けてサイト選定に関する活動を行っています
-  * 協議結果を踏まえ、英国政府は2014年7月、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設の設置に向けた新たなサイト選定プロセス等を示した白書を公表しました。+
 </WRAP> </WRAP>
-<WRAP clear></WRAP>+<WRAP clear/>
  
  
-===== サイト選定プロセスの見直し =====+===== 新たなサイト選定プロセスの開始 =====
  
-<WRAP rss right box 320px> +英国政府は、公開協議で寄せたられた意見などを踏まえ2014年7月に高レベル放射性廃棄物等地層処分施設の設置に向けた新たなサイト選定プロセスた白書『地層処分-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組公表し。 
-**[3] 根拠に基づく情報提供の照会とは?** \\ 英国などでは政策検討プロセスのなかに、Call for Evidence が取り入れられており、有用なデータ広く収集できるみを整えていす。寄せられ情報を基により質高い頑健な政策立案でると考えられています。 +2014年7月の白書で英国政府が示た新たなサイト選定プロセスではサイト選定に関する活動期間く二つに分けています。
-</WRAP>+
  
 +====[第1期:初期活動]====
 +2014年~ 2016年の約2年間は、英国政府及び実施主体の「初期活動」と位置づけており、この期間では地域社会(コミュニティ)に対し、地質、社会・経済的影響、地域社会への投資等の地層処分施設に関連する情報の提供を行うことにしています。
 +地域社会が①地層処分に関する技術的事項、②実施主体と地域社会との協働事項の両方に関して明確かつ証拠に基づいた情報を得ることにより、より安心してサイト選定プロセスに参加できるようになると考えられています。
 +初期活動の期間では、以下の3つの作業が実施されます。
  
-2013年1月にカンブリア州西部の自治体がサイト選定プロセスから撤退するとの決定を受けて、2013年5月に英国政府は現行のサイ選定プロセス見直すべ、「根拠に基づく情報提供の照会」(Call for Evidence[3]. 以下「情報提供の照会」という。)を行いました。情報提供は、これまでサイト選定プロセスに関する経験から教訓を見出すため、特にサイト選定プロセスに参画した者、関心を持って観察してきた者から見解を収集するねらいです。+  * 英国全土(スコッランドく)を対象とした地質学的スクリーニング実施 
 +  * 地域社協働プロセスの開発 
 +  * 土地利用計画プロセスの開発
  
-英国政府は、サイト選定プロセスについての改善点自治体の自発的参加すた手段ついて、以下よう質問を用意しした+なお、英国全土を対象とした地質学的スクリーニングは、今後地域社会が地層処分施設の設置について検討する際に必要地質情報に容易にアクセスできるようにすること目的として実施されるもので。 
 +地層処分施設の設置に「適格」まは「不適格」なエリア判定や絞り込み使用するもではいと位置づけられてい
  
-  * 白書に基づくサイト選定プロセスのどんな面を、どのように改善できるか。 +====[第2期]====
-  * サイト選定プロセスに自治体を引きつけるものは何であるか。 +
-  * サイト選定プロセスに参画する上で、どのような情報が自治体の助けとなるか。+
  
-情報提供照会約1カ月行われ結果、個人から99通、カンブリア州、カンブリア州アラデール市及びコープランド市自治や企業などから86通回答得られまし+2016年以降15~20 年間では、関心表明した地域社会と実施主体と正式協議として、初期活動で成果に基づき、実施主と地域社会の間で地質調査の実施などに関する正式な協議に入ることになっています。サイト選定プロセスからの撤退権については、地域社会地層処分施設の設置についての住民の支持を調査・確認するでは、いつでも撤退できるとています
  
-これらの回答に基づいて、英国政府は2013年9月に協議文書『地層処分施設のためのサイト選定プロセスのレビュー』を公表しました。この文書は、公衆協議(約3カ月間)の目的で用意されたものであり、地層処分の政策に関する背景情報、2008 年の白書に基づく現行のサイト選定プロセスの変更・改善案を説明し、これらの提案に関する具体的な質問を提示する形で公衆からの見解を求めました。この協議文書のなかで英国政府は、地元の自発性及びパートナーシップに基づくアプローチは現行プロセスと同様に維持しつつ、自治体が十分に準備を整える前に、何らかの約束をせまられる状況に追い込まれないように配慮したいとの考えを示しました 
  
-公開協議では、個人及び地方自治体、関係機関などから719 件見解が寄せられました。+===== 2014年白書発表以降の活動状況 =====
  
-<WRAP clear></WRAP>+第1期の初期活動では、①全国レベルの地質学的な選別、②地域社会との協働プロセスの準備、③土地利用計画プロセスの開発―が行われています。
  
-===== 新たなサイト選定プロセス開始 =====+[{{:hlw:uk:初期活動概略.png?640|初期活動の概略| 
 +<fc #080>初期活動の概略</fc> 
 +}}] 
 +\\
  
-英国政府は、公開協議で寄せたられた意見などを踏まえ、2014年7月に高レベル放射性廃棄物等の層処分施設の設置に向けた新たなサイト選定プロセ等を示した白書『地層処分-高レベル放射性廃棄物等長期管理に向けた枠組み』を公表しました。2014年7月の白書で英国政府が示した新たなサイト選定プロセスでは、サイト選定に関する活動の期間を大きく二つに分けています。+==== ①質学的クリーニング実施 ====
  
-====[第1期:初期活動]==== +[30%{{ :hlw:uk:BGS地域区分図.png|BGS地域区分図| 
-2014年~2016年の約2年間は、英国政府及び実施主体の**初期活動**と位置づけており、この期間では自治体に対し、地質、社会・経済的影響、自治体への投資等の地層処分施設に関連する情報の提供を行うことにしています。自治体が①地層処分に関する技術的事項、②実施主体と自治体との協働事項の両方して明確かつ証拠に基づた情報を得ことにより、より安心してサイ選定プロセスに参加できるようになると考えられています。初期活動の期間では、以下の3 つの作業が実施されます。+<fc #080>BGS が地域別指針(Regional Guide publication series) 
 +行するため採用している地質学的地域(スコッランドを除く)</fc> 
 +}}]
  
-  - 英国全土スコットランドを除くを対象とした地質学的スクリーニングの実施 +実施主体である放射性廃棄物管理会社RWM社は、2016年4月に地質学的スクリーニングのガイダンスを公表しました。 
-  - 「2008 年計画法」改正 +ガイダンスにおいて、RWM社は地層処分施設長期安全要件に関して考慮すべき5つの地質特性として、①岩種、②岩盤構造、③地下水、④自然プロセス、⑤資源に着目し、過去に英国で実施された採鉱活動に関する情報などに基づいて、スクリーニング作業を行います。 
-  - 自治体と協働プロセスの+RWM社は、スクリーニング作業で得られた情報に基づいて、各地域地質特性と安全面がどのような関連性を持っているかについて示した簡略な説明文書を提示する予定です。 
 +今後、スクリーニングの結果を公表した上で、地域社会との正式な協議を開始する予です。
  
-なお、英国全土を対象した地質学的スクリーニングは、今後自治体が地層処分施設設置について検討する際に、必要な地質情報に容易にアクセスできるようにすることを目的として実施されるもです。地層処分施設の設置に「適格」または「不適格」なエリアの判定や絞り込みに使用するものではないと位置づけられています。+==== ②地域社会との協働プロセスの開発 ====
  
-====[第2期]==== +英国政府は、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の代を議長とした「地域社会意思表示のための作業グループ(CRWG)」を設 
-2016年以降の15~20年間では、関心した自治体と実施主体と正式な協議と初期活動での成果に基づき、実施主体自治体間で地質調査の実施などに関する正式な議に入ることになっています。サイト選定プロセスから撤退権つい自治体が地層処分施設設置についての住民の支持調査・確認するまでは、いつでも撤退できるとしています。+し、2015年3月から地域社会との協プロセスの開発向けて、以下ような検討行っています。
  
-する経済インセンティブとして、サイト選プロセス参加する自治体には、経済サポートとして年間100万ポド(1億7,400万円)まで、さらにボーリング調査等が実施される自治体には年間250万ポンド4億3,500万円までの投資を行うとしています。+  * 域社会する定義や意思表示するオプショの開発 
 +  * 住民の支持を調査・確認test方法の策定に向けたプロセスの開発 
 +  * 地域社会への投資
  
 +今後、CRWGは地域社会との協働プロセス案を策定し、公開協議を行う予定です。
  
-=====2014年白書以降の活動状況===== 
  
-2014年白書に基づくサイト選定プロセスに沿って、英国政府と実施主体は「初期活動」として、地質学的スクリーニングに対する英国市民認知度を高めることを目的とした技術イベントを英国主要都市で催する計画です。また、技術イベントを通じて、地質学的スクリーニングの実施要領書の策定に向けた意見収集を図っています。+==== ③土地利用計画プロセスの開発 ====
  
-最初の技術イベントが2014930日ロンドンで開催されました。今後ブリストル、バーミガム、マスターリーズ、ニューキャッスルでも技術開催される予定です。+20153月に、地層処分施設(GDF)の条件などを規定した「2015年社会基盤計画(放射性廃棄物地層処分施設)令」が発効しました。 
 +この立法措置によりグラドにおけるGDF開発プロジクトは「国家的に重要な社会基盤プロジェクト(NSIP)」として位置づけられ国家レベルで重要なインフラ整備に係る手続きなどを定めた「2008年計画法」に基づいた規制適用されることになります。
  
 +また、GDF 開発プロジェクトの実施には、計画審査庁からの勧告を受けた担当大臣による開発同意令が必要となります。英国政府は、
 +開発同意令の発給審査の基礎となる国家政策声明書(NPS)の策定を進めているところです。国家政策声明書には、持続可能性評価(AoS)と生息環境規制評価(HRA)の評価結果を含むことになっています。今後、英国政府は国家政策声明書を策定し、公開協議を行う予定です。
  
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-====== 4.2  これまでの経緯 ======+====== 4.2  以前のサイト選定プロセスの経緯 ======
  
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 {{:wiki:付箋ポイント.png?100&nolink|ポイント}} {{:wiki:付箋ポイント.png?100&nolink|ポイント}}
   * 2008年6月の英国政府白書『放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み』において、公募方式に基づく6段階から成るサイト選定プロセスや適用すべき基準を示しました。   * 2008年6月の英国政府白書『放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み』において、公募方式に基づく6段階から成るサイト選定プロセスや適用すべき基準を示しました。
-  * 英国政府が処分場を建設するための好ましいサイトを選定するまでは、自治体がこのサイト選定プロセスから撤退する権利を行使できるとしています。英国政府白書の公表とともに、サイト選定が開始されました。+  * 英国政府が処分場を建設するための好ましいサイトを選定するまでは、自治体がこのサイト選定プロセスから撤退する権利を行使できるとしています。 
 +  * 英国政府白書の公表とともに、サイト選定が開始されましたが、2013年1月に、関心表明を行っていたカンブリア州西部の自治体がサイト選定プロセスからの撤退を表明しました。
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 <WRAP rss right 320px> <WRAP rss right 320px>
 {{zoom>:hlw:uk:mrws-site-selection.png?320|英国におけるサイト選定プロセス}} {{zoom>:hlw:uk:mrws-site-selection.png?320|英国におけるサイト選定プロセス}}
-<fc #080>英国におけるサイト選定プロセス</fc>+<fc #080>英国におけるサイト選定プロセス(旧)</fc>
 </WRAP> </WRAP>
  
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 ===== サイト選定の進捗…カンブリア州西部の自治体がプロセスから撤退 ===== ===== サイト選定の進捗…カンブリア州西部の自治体がプロセスから撤退 =====
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 +==== 第1段階:自治体からの関心表明 ====
  
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行 133: 行 150:
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-政府は、2008年6月白書公表するとともに、サイト選定の第1段階として政府との協議の開始を希望する、将来処分場を受け入れる可能性のある自治体の募集を開始しました。これに対して、2008年7月には、ドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場やセラフィールド酸化物燃料再処理工場(THORP)など多くの原子力施設が立地しているカンブリア州のコープランド市が、地層処分場選定に関する政府との協議への関心表明を提出しました。また、2008年12月にはカンブリア州が、さらに2009年2月には同州のアラデール市が関心表明を行いました。+英国政府は、2008年6月白書公表とともに、サイト選定の第1段階として政府との協議の開始を希望する、将来処分場を受け入れる可能性のある自治体の募集を開始しました。これに対して、2008年7月には、ドリッグ村近郊にある低レベル放射性廃棄物処分場やセラフィールド酸化物燃料再処理工場(THORP)など多くの原子力施設が立地しているカンブリア州のコープランド市が、地層処分場選定に関する政府との協議への関心表明を提出しました。また、2008年12月にはカンブリア州が、さらに2009年2月には同州のアラデール市が関心表明を行いました。
  
  
行 164: 行 181:
 <WRAP clear></WRAP> <WRAP clear></WRAP>
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-==== 2013年1月カンブリア州議会が既に第4段階に進まないことを議決 ====+==== 第3段階:2013年1月 カンブリア州議会が既に第4段階に進まないことを議決 ====
  
 <WRAP rss right box 300px> <WRAP rss right box 300px>
行 196: 行 213:
   * 今回のカンブリア州西部の経験では、サイト選定プロセスの改善策について検討するための良い機会であり、今後必要であれば変更を行うための再協議を実施する。   * 今回のカンブリア州西部の経験では、サイト選定プロセスの改善策について検討するための良い機会であり、今後必要であれば変更を行うための再協議を実施する。
  
 +===== サイト選定プロセスの見直し =====
  
 +2013年1月にカンブリア州西部の自治体がサイト選定プロセスから撤退するとの決定を行いました。
 +これ受けて2013年5月に英国政府は、現行のサイト選定プロセスを見直すべく「根拠に基づく情報提供の照会」(Call for Evidence[4]. 以下「情報提供の照会」という。)を行いました。情報提供の照会は、これまでのサイト選定プロセスに関する経験から教訓を見出す
 +ため、特にサイト選定プロセスに参画した者、関心を持って観察してきた者から見解を収集することがねらいです。
  
 +英国政府は、サイト選定プロセスについての改善点、自治体の自発的な参加を促すための手段について、以下のような質問を用意しました。
  
 +  * 白書に基づくサイト選定プロセスのどんな面をどのように改善できるか。
 +  * サイト選定プロセスに自治体を引きつけるものは何であるか。
 +  * サイト選定プロセスに参画する上で、どのような情報が自治体の助けとなるか。
  
 +情報提供の照会は約1カ月行われ、その結果、個人から99通、カンブリア州、カンブリア州アラデール市及びコープランド市などの自治体や企業などから86通の回答が得られました。
 +これらの回答に基づいて、英国政府は2013年9月に協議文書『地層処分施設のためのサイト選定プロセスのレビュー』を公表しました。この文書は、公開協議(約3カ月間)の目的で用意されたものであり、地層処分の政策に関する背景情報、2008年の白書に基づくサイト選定プロセスの変更・改善案を説明し、これらの提案に関する具体的な質問を提示する形で公衆からの見解を求めました。
  
 +この協議文書のなかで英国政府は、地元の自発性及びパートナーシップに基づくアプローチは現行プロセスと同様に維持しつつ、自治体が十分に準備を整える前に、何らかの約束をせまられる状況に追い込まれないように配慮したいとの考えを示しました。
 +公開協議では、個人及び地方自治体、関係機関などから719件の見解が寄せられました。
  
  
-<WRAP clear></WRAP>+<WRAP clear/>
  
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行 211: 行 240:
 <WRAP round box> <WRAP round box>
 {{:wiki:付箋ポイント.png?100&nolink|ポイント}} {{:wiki:付箋ポイント.png?100&nolink|ポイント}}
-  * 英国政府は、20086月の白書において、処分地元となった立地地域対しては、地域振興のための方策ついては地域ニーズ、金額の妥当性、支払う金額に見合った価値などを考慮しなが、協議の進展に合わせて地域社会、政府、NDA間で協議しながら策定べきであるという認識を示てい+  * 英国政府は、20147月の白書において、地層処分施設サイト選定プロセス関与する地域社会(コミュニティ)を支援するために、サイト選定プロセス初期段階から地域社会への投資を利用可能にすると表明しました
 </WRAP> </WRAP>
 <WRAP clear></WRAP> <WRAP clear></WRAP>
  
-===== 白書でコミットメント =====+===== 自治体へ投資=====
  
-<WRAP right rss> +英国政府は、2014年7月の白書『地層処分-高レベル放射性廃棄物等長期管理に向けた枠組み』において、地層処分施設の建設及び操業が数十億ポンド(1ポンドは128 円)に相当するプロジェクトであるとしています。プロジェクト期間中は多くの雇用を生み出し、立地する自治体の経済及び広範な社会・経済の枠組みに貢献するとしています。また、副次的な効果として、産業面での利益、社会基盤への投資、現地の教育または学術資源への利益、現地のサービス業への利益、輸送インフラの強化も見込まれるとしています。
-{{:hlw:uk:decc2008-white-paper.png?150&nolink|白書『地層処分の実施の枠組み』(2008年6月)}}\\ +
-白書『地層処分の実施の枠組み』(2008年6月) +
-</WRAP>+
  
 +また、英国政府は地層処分施設のサイト選定プロセスに建設的に関与する地域社会を支援するために、サイト選定プロセスの初期段階においても、地域社会への投資を利用できるようにするとしています。
 +サイト選定プロセスの初期段階においては、関与する地域社会1か所あたり最大で年間100万ポンド(1億2,800万円)が利用可能であるとしています。さらに、地層処分施設の立地に適格である可能性のあるサイトにおいて、
 +サイト評価のために地下への侵入を伴うボーリング調査の段階まで進んだ地域社会に対しては、最大で年間250万ポンド(3億2,000万円)まで増額するとしています。
  
 +なお、これらの投資に関しては、開発事業者と地域社会で交わされる建設中の影響緩和を目的とする協定(1990年都市田園計画法に基づくものなど)に追加されるというものではなく、地域社会のサイト選定プロセスへの関与を促すために追加されるものです。
  
-白書「放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み」において政府は、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設を受け入れる地域社会は国家にとって不可欠な使命を自発的に引受けることになるとの認識を明示しています。処分場の立地地域の社会・経済的福利の発展に調和した振興方策を検討する必要性を認識する一方で、地層処分事業は処分場全体が最終的に閉鎖されるまで少なくとも100年かかり、地層処分施設の操業は数世代にわたる問題であることから、地域振興の問題も数世代にわたる要素を持っているとの認識です。 
  
-政府は、地域の短期的及び長期的なニーズは、施設を受け入れる地域社会ごとに異なる可能性があるので早まった判断を避け、地元地域、政府及び原子力廃止措置機関(NDA)などの協議により検討していく姿勢をとっています。 +<WRAP clear/>
- +
-地層処分施設を受け入れることで地域社会が恩恵を受ける形の投資分野として、以下を例示しています。 +
- +
-  * 地域の訓練/技能開発/教育への投資 +
-  * 地元サービス産業の活性化 +
-  * 公共事業/住宅等への投資 +
-  * 輸送インフラの強化 +
-  * 福利厚生サービスの改善 +
-  * 環境改善 +
- +
- +
-<WRAP clear></WRAP>+
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hlw/uk/chap4.txt · 最終更新: 2018/05/02 17:00 by sahara.satoshi