hlw:se:chap4
差分
このページの2つのバージョン間の差分を表示します。
両方とも前のリビジョン前のリビジョン次のリビジョン | 前のリビジョン | ||
hlw:se:chap4 [2013/12/02 19:55] – [事業者と地元自治体間の協力協定] sahara.satoshi | hlw:se:chap4 [2017/10/27 18:57] (現在) – 外部編集 127.0.0.1 | ||
---|---|---|---|
行 1: | 行 1: | ||
- | ~~bc: | + | ~~ShortTitle: |
<WRAP pagetitle> | <WRAP pagetitle> | ||
==HLW: | ==HLW: | ||
行 15: | 行 15: | ||
*<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | ||
*<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | ||
- | *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</ | + | *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</ |
*<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | ||
- | *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</ | + | *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</ |
- | *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</ | + | |
</ | </ | ||
行 33: | 行 32: | ||
====== 4.1 処分地の選定手続き・経緯 ====== | ====== 4.1 処分地の選定手続き・経緯 ====== | ||
- | < | + | <WRAP round box> |
+ | {{: | ||
* スウェーデンにおけるサイト選定は、実施主体であるSKB社が提案した4種類の調査から構成されています。サイト選定の手続は法令に定められてはいませんが、3年ごとの研究開発計画(SKB社による呼称はRD& | * スウェーデンにおけるサイト選定は、実施主体であるSKB社が提案した4種類の調査から構成されています。サイト選定の手続は法令に定められてはいませんが、3年ごとの研究開発計画(SKB社による呼称はRD& | ||
* SKB社は、2009年6月に処分場建設予定地として、エストハンマル自治体のフォルスマルクを選定しました。その後、2011年3月に処分場の立地・建設の許可申請を行いました。 | * SKB社は、2009年6月に処分場建設予定地として、エストハンマル自治体のフォルスマルクを選定しました。その後、2011年3月に処分場の立地・建設の許可申請を行いました。 | ||
</ | </ | ||
- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
===== 処分地選定の進め方 ===== | ===== 処分地選定の進め方 ===== | ||
行 57: | 行 57: | ||
- | <WRAP clear></ | + | <WRAP clear/> |
+ | \\ | ||
+ | <WRAP rss right 320px> | ||
+ | {{: | ||
+ | <fc # | ||
+ | </WRAP> | ||
+ | |||
+ | ==== 総合立地調査 ==== | ||
+ | サイト選定プロセスを構成する4種類の調査の一つである総合立地調査は、地層処分場の立地方法論に関する文献ベースの研究です。特定の自治体を対象としたものではなく、自治体を対象に行うフィージビリティ調査と並行して実施されました。例えば、全国各地での立地見通しを示すために、1998~ 99年にかけてSKB 社は県域別(国の出先機関が置かれている行政区分)に地質分布や土地利用状況等の既存情報を取りまとめました。 | ||
+ | |||
+ | <WRAP clear/> | ||
\\ | \\ | ||
==== 自治体のフィージビリティ調査受け入れ ==== | ==== 自治体のフィージビリティ調査受け入れ ==== | ||
行 74: | 行 84: | ||
- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
\\ | \\ | ||
==== 自治体のサイト調査受け入れ ==== | ==== 自治体のサイト調査受け入れ ==== | ||
行 92: | 行 102: | ||
- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
\\ | \\ | ||
===== 建設地決定に係わる法制度 ===== | ===== 建設地決定に係わる法制度 ===== | ||
行 109: | 行 119: | ||
- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
\\ | \\ | ||
行 115: | 行 125: | ||
====== 4.2 地域振興方策 ====== | ====== 4.2 地域振興方策 ====== | ||
- | < | + | <WRAP round box> |
+ | {{: | ||
* スウェーデンでは、高レベル放射性廃棄物の処分事業に関連して、自治体が行う情報提供活動や協議に要する費用は、原子力廃棄物基金で賄われています。その協議を通じて、サイト調査が実施されたエストハンマルとオスカーシャムの2自治体、SKB社、原子力発電事業者4社の間で、地元開発に関する協力協定が2009年3月に合意されました。 | * スウェーデンでは、高レベル放射性廃棄物の処分事業に関連して、自治体が行う情報提供活動や協議に要する費用は、原子力廃棄物基金で賄われています。その協議を通じて、サイト調査が実施されたエストハンマルとオスカーシャムの2自治体、SKB社、原子力発電事業者4社の間で、地元開発に関する協力協定が2009年3月に合意されました。 | ||
</ | </ | ||
- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
===== 制度的な財政支援 ===== | ===== 制度的な財政支援 ===== | ||
行 138: | 行 149: | ||
オスカーシャムとエストハンマルの自治体組織とSKB社の協議を通じて、2009年3月にこれら2自治体における地元開発に関する協定が合意されました。SKB社の計画では、オスカーシャム自治体では今後も使用済燃料の集中中間貯蔵が行われるほか、それらをキャニスタに封入する施設が新たに建設されます。エストハンマル自治体には、そのキャニスタを処分する最終処分場が建設されます。SKB社は、2カ所の原子力施設を長期に継続して操業するため、地元の社会経済的な側面も重視しています。スウェーデンでは、自治体の社会経済を発展させることは、自治体の基本的な仕事と位置付けられています。こうした認識と双方の立場を尊重して、SKB社・原子力発電事業者4社と2自治体間で協力の枠組みが生み出されています。 | オスカーシャムとエストハンマルの自治体組織とSKB社の協議を通じて、2009年3月にこれら2自治体における地元開発に関する協定が合意されました。SKB社の計画では、オスカーシャム自治体では今後も使用済燃料の集中中間貯蔵が行われるほか、それらをキャニスタに封入する施設が新たに建設されます。エストハンマル自治体には、そのキャニスタを処分する最終処分場が建設されます。SKB社は、2カ所の原子力施設を長期に継続して操業するため、地元の社会経済的な側面も重視しています。スウェーデンでは、自治体の社会経済を発展させることは、自治体の基本的な仕事と位置付けられています。こうした認識と双方の立場を尊重して、SKB社・原子力発電事業者4社と2自治体間で協力の枠組みが生み出されています。 | ||
- | この開発協力協定では、新規の原子力施設立地による自治体への直接的な経済効果とは別に、追加的な自治体開発支援を原子力発電事業者とSKB社が行うことになっています。2025年までの期間で、総額20億スウェーデン・クローネ(約300億円)規模の経済効果を生み出す付加価値事業を実施する予定であり、その経済効果がエストハンマル自治体で25%、オスカーシャム自治体で75%の割合で創出されることになっています。なお、地元開発に関する協力協定はSKB社が地層処分場のサイトを決める前に合意されており、2自治体間の経済効果の割合は「地層処分場が立地されない自治体に75%」という内容で合意されたものでした。 | + | この開発協力協定では、新規の原子力施設立地による自治体への直接的な経済効果とは別に、追加的な自治体開発支援を原子力発電事業者とSKB社が行うことになっています。2025年までの期間で、総額20億スウェーデン・クローネ(300億円)規模の経済効果を生み出す付加価値事業を実施する予定であり、その経済効果がエストハンマル自治体で25%、オスカーシャム自治体で75%の割合で創出されることになっています。なお、地元開発に関する協力協定はSKB社が地層処分場のサイトを決める前に合意されており、2自治体間の経済効果の割合は「地層処分場が立地されない自治体に75%」という内容で合意されたものでした。 |
付加価値事業では、以下の分野で投資が行われることになっています。 | 付加価値事業では、以下の分野で投資が行われることになっています。 | ||
行 151: | 行 162: | ||
- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
\\ | \\ | ||
行 159: | 行 170: | ||
* 面積:約2, | * 面積:約2, | ||
- | * 人口:約21, | + | * 人口:約21, |
</ | </ | ||
行 167: | 行 178: | ||
港に面したオスカーシャムの市街地は工業の町です。以前は造船業が盛んでしたが、近年はエネルギー産業が盛んで、オスカーシャム原子力発電所のほか、エネルギー関連企業も多く集まっています。市街から約35キロメートル北には、SKB社のエスポ岩盤研究所もあります。 | 港に面したオスカーシャムの市街地は工業の町です。以前は造船業が盛んでしたが、近年はエネルギー産業が盛んで、オスカーシャム原子力発電所のほか、エネルギー関連企業も多く集まっています。市街から約35キロメートル北には、SKB社のエスポ岩盤研究所もあります。 | ||
- | * 面積:約1, | + | * 面積:約1, |
- | * 人口:約26, | + | * 人口:約26, |
</ | </ | ||
- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
行 195: | 行 206: | ||
*<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | ||
*<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | ||
- | *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</ | + | *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</ |
*<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | ||
- | *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</ | + | *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</ |
- | *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</ | + | |
</ | </ | ||
hlw/se/chap4.1385981703.txt.gz · 最終更新: 2013/12/02 19:55 by sahara.satoshi