諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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HLW処分進捗状況 概要編

このサイトの情報は、情報冊子『諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について』(2012年2月)と並行的に作成し、冊子発行後も最新情報となるよう随時更新に努めています。

諸外国における高レベル放射性廃棄物処分の状況(あらまし)

一般に、高レベル放射性廃棄物(HLW)の処分は、①原子力発電で生じる使用済燃料を再処理せずに処分する場合(直接処分)と、②再処理後の廃液を固化した「ガラス固化体」を処分する場合があります。

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目次



欧米主要7カ国の現状

~はじめに~

このウェブサイトでは、欧米主要7カ国(フィンランド、スウェーデン、フランス、スイス、ドイツ、英国、米国)については、6つのテーマ別の詳細ページを用意しています。

  1. HLWの発生状況と処分方針
  2. 地層処分計画と技術開発
  3. 処分事業に係わる制度/実施体制
  4. 処分地選定の進め方と地域振興
  5. 処分事業の資金確保
  6. 安全確保の取り組み・コミュニケーション

詳細ページに進む前の予備知識として、このページで各国の現状を5つのポイントで押さえておきましょう。




スウェーデン

スウェーデン
最新動向の要点

①サイト選定 2011年3月にSKB社が、エストハンマル自治体のフォルスマルクを処分場の建設予定地とする立地・建設の許可申請書を提出しました。
②処分規模 全ての原子炉が閉鎖されるまでに発生する使用済燃料――約12,000トン(ウラン換算)を処分する計画です。
③処分深度 処分場の設置深度は地下約500メートル(結晶質岩)。フォルスマルクでは、ボーリング掘削を含む「地表からの調査」しか実施されていません。地下の詳細特性調査は、処分場建設の一環として実施することになっています。
④実施主体の形態 スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、1984年に電力会社4社が共同出資して設立した民間会社です。
⑤処分開始の予定 SKB社の計画では、処分場の操業開始は 2025年頃となる見通しです。


 

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フィンランド


最新動向の要点

①サイト選定 2001年にユーラヨキ自治体のオルキルオトが処分地に決定。処分場を建設する前に別途申請・許可を取得する必要がありますが、同地での処分計画を政府及び国会が承認したことにより、処分地が決定しています。
②処分規模 オルキルオトでは、稼働中及び建設中の原子炉が閉鎖するまでに発生する使用済燃料―最大9,000トン(ウラン換算)を処分する計画が認められています。
③処分深度 処分場の設置深度は地下約400メートル(結晶質岩)。オルキルオトでは、2004年から地下特性調査施設の建設が始まっており、並行して詳細特性調査が実施されています。地下特性調査施設は将来、処分場の一部となる予定です。
④実施主体 ポシヴァ社は、1995年に原子力発電会社2社が共同出資して設立した民間企業です。
⑤処分開始の予定 政府策定の目標スケジュールでは、処分場の操業開始は2020年頃とされています。


 

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フランス

フランス
最新動向の要点

①サイト選定 処分実施主体のANDRAが ビュール地下研究所(ムーズ県/オート=マルヌ県)近傍に約30km2の区域の候補サイトを特定しています。
②処分規模 ガラス固化体と長寿命中レベル放射性廃棄物(ハルエンドピースなど)を併置処分する計画です。既存の原子炉を40年間運転した場合に発生する約45,000トンの使用済燃料を全て再処理した場合には、ガラス固化体(6,690m3)と長寿命中レベル放射性廃棄物(59,300m3)が処分対象となります。
③処分深度 処分場の設置深度は地下約500メートル(粘土層)。ビュール地下研究所で調査している粘土層(地下420~550mの範囲)と同等の地質環境を有する地層内に設置する計画です。
④実施主体 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、全ての放射性廃棄物の管理を行う「商工業的性格を有する公社」(フランス語でEPIC)です。1979年に原子力・代替エネルギー庁(CEA)の一部門として創設されましたが、1991年の法律によって分離・公社化されました。
⑤処分開始の予定 2006年の法律は地層処分の事業化に向けたスケジュールを定めており、2025年に地層処分場の操業を開始することになっています。


 

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スイス

スイス
最新動向の要点

①サイト選定 処分場のサイト選定は、原子力令に従って策定された特別計画「地層処分場」に基づいて3段階で進められています(期間は2008年から2019年までを予定)。その第1段階として、2011年11月末に高レベル廃棄物の処分場の「候補サイト区域」3カ所が正式に選定されたところです。
②処分規模 ガラス固化体と使用済燃料を処分する計画です。国内5基の原子炉を50年間運転した場合、約3,600トン(ウラン換算)の使用済燃料が発生すると推定されています。
③処分深度 処分場の設置深度は、オパリナス粘土層が広く存在している地下約450~900mが検討されています。
④実施主体 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、スイスの原子力発電会社5社と、原子力発電以外の放射性廃棄物の管理責任をもつ連邦政府が1972年に設立した共同組合です。
⑤処分開始の予定 NAGRAの計画では、処分場の操業開始を2050年頃と予定しています。


 

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ドイツ

ドイツ
最新動向の要点

①サイト選定 処分場候補地であるゴアレーベン(ニーダーザクセン州)での探査活動―約10年間凍結されていた―が2010年11月に再開しました。ゴアレーベンでの探査活動と並行して、2011年秋から代替処分サイトの選定手続の検討が行われています。
②処分規模 ガラス固化体と使用済燃料を処分する計画です。使用済燃料の累積発生量は約17,770トン(重金属換算)と推定されており、うち約6,670トンは主としてフランス及び英国に委託して再処理されています。
③処分深度 ゴアレーベンでは、地表から約250m以深にある岩塩ドーム内の地下840 ~ 1,200mの範囲が検討されています。
④実施主体 処分場を建設・操業する法的責任は連邦政府にあり、連邦放射線防護庁(BfS)の所管です。BfSは実務をドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)に委託しています。DBE社(1979年設立)は、原子力発電所を所有する電力会社傘下の会社です。
⑤処分開始の予定 探査結果などからゴアレーベンが処分地に適することが確認できた場合、BfSが処分プロジェクトの計画を確定する法定手続き(計画確定)を2017年頃から開始する予定です。この計画確定によって処分地が決定します。なお、処分対象廃棄物の貯蔵ライセンスの有効期限の観点から、2035年頃には処分場が必要となる見通しです。


 

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英国

英国
最新動向の要点

①サイト選定 2008年6月に英国政府(エネルギー・気候変動省、DECC)が白書『地層処分の実施に向けた枠組み』を定め、英国政府がサイト選定を進めています。これまでにカンブリア州と同州内の2市がサイト選定プロセスへの関心表明を行っていますが、関心表明の募集は継続中です。
②処分規模 英国では、既存の浅地中処分場では処分できない放射性廃棄物を地層処分する方針です。地層処分の可能性がある廃棄物パッケージの総量は約50万m3(廃棄物を収納した処分用の容器全体の体積)、うち高レベル放射性廃棄物であるガラス固化体の処分用パッケージの量は7,454m3と推定されています。
③処分深度 廃棄物パッケージを定置する地下施設の設置深度は、200~1,000mの範囲が想定されています。
④実施主体 処分実施主体は、政府外郭団体である原子力廃止措置機関(NDA)です。NDAは2005年に設立され、当初の役割は、英国政府が管理する原子力施設の廃止措置を推進することでしたが、英国政府が地層処分方針を決めたことを受けて、2007年4月から放射性廃棄物処分を実施する役割が正式に付加されました。
⑤処分開始の予定 NDAは、処分場の操業開始を2040年頃と予定。低中レベル放射性廃棄物の処分から開始し、高レベル放射性廃棄物の処分は2070年代半ばから開始する計画としています。


 

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米国

米国
最新動向の要点

①サイト選定 2002年に連邦議会の立地承認決議を法律とすることにより処分場サイトがネバダ州のユッカマウンテンに決定したものの、政権交代により誕生した現政権はユッカマウンテン計画を中止する方針。エネルギー長官が設置した「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」が代替案を検討して最終報告書が出され、使用済燃料などの管理の実施シナリオを検討しているところです。
②処分規模 ユッカマウンテンで予定されている処分量は70,000トン(重金属換算、以下同じ)です。商業用原子力発電所から発生した使用済燃料が63,000トン、エネルギー省(DOE)保有の使用済燃料やガラス固化体が7,000トンです。
③処分深度 ユッカマウンテン処分場は地表から201m~488m(平均305m)の不飽和帯(凝灰岩)に建設する計画です。建設認可の許認可申請の前に地下試験の実施が義務づけられており、1992年からDOEが「探査研究施設」を建設し、サイト特性調査を実施しました。
④実施主体 1982年放射性廃棄物政策法において、DOEが処分場を開発すると定められました。同法によって、DOE内に民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)が設置されています。
⑤処分開始の予定 DOEが2008年6月に提出したユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請では、2020年の操業開始を予定していました。


 

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その他の欧米諸国の状況

ここでは、カナダ、スペイン、ベルギーにおける高レベル放射性廃棄物の処分関連の動きを紹介します。

カナダ
カナダ

  • 使用済燃料の管理責任を有する原子力事業者の共同出資により、核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が2002年に設立されています。
  • 使用済燃料の長期管理方法として「適応性のある段階的管理」(APM)を採用しており、NWMOは2010年5月からサイト選定を開始しました。2012年6月までに20地域が処分場の立地可能性に関心表明を行い、8地域では第3段階であるフィージビリティ調査が開始されています。

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スペイン
スペイン

  • 全ての放射性廃棄物の処分実施主体として、国営企業の放射性廃棄物管理公社(ENRESA)が1984年に設置されています。
  • 処分場のサイト選定活動が1998年に中断され、最終管理方策の決定は先送りされていますが、地層処分を有力なオプションとして位置付けています。当面の課題である使用済燃料等の集中中間貯蔵施設(ATC)の設置について、政府は2009年に受け入れ自治体の公募を開始し、2011年に受け入れ自治体を決定しました。

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ベルギー
ベルギー

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アジア諸国の状況

ここでは、中国と韓国における高レベル放射性廃棄物の処分関連の動きを紹介します。

中国
中国

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韓国
韓国

  • 韓国では使用済燃料の管理政策が定まっていません。韓国政府の知識経済部(MKE)は 2011年11月に「使用済燃料政策フォーラム」を設置し、使用済燃料管理の具体的な政策、並びにその策定に必要となる手続き的側面を検討しているところです。
  • 放射性廃棄物の発生者と管理者を分離することなどを目的として、2009年1月に施行された放射性廃棄物管理法の規定に従い、処分実施主体して韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC)が設立されています。

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hlw/progress-at-glance.1361950348.txt.gz · 最終更新: 2013/02/27 16:32 (外部編集)