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HLW:DE:chap6
ドイツにおける高レベル放射性廃棄物処分
- 全体構成(章別)
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2. 地層処分計画と技術開発
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5. 処分事業の資金確保
6. 安全確保の取り組み・コミュニケーション
6.1 地層処分の安全確保の取り組み
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ドイツでは、ゴアレーベンでの高レベル放射性廃棄物処分を想定して、処分概念の検討と共に、同サイトの処分場としての適性を確認する適合性調査や安全評価などが行われてきました。
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2009年には「発熱性放射性廃棄物の最終処分に関する安全要件」が策定され、ゴアレーベンへの適用に向けた検討が行われていましたが、2013年にサイト選定法が制定されたことを受け、これらの安全要件も含めて再検討することになっています。
安全性の確認と知見の蓄積
ゴアレーベンのサイト調査の総括的中間報告書
1983年に、当時の実施主体であった連邦物理・技術研究所(PTB)は、ゴアレーベンが処分場の建設地として適切であると評価しました。
1983年5月、当時の最終処分事業の実施主体であった連邦物理・技術研究所(PTB)は『ゴアレーベンのサイト調査の総括的中間報告書』をまとめています。この報告書では、ゴアレーベンに地層処分場を建設した場合の安全解析が行われ、ゴアレーベンが処分場の建設地として適切であると評価されました。この評価結果を受けて、ニーダーザクセン州が地下探査に関する許可を発給し、探査坑道の建設は1986年から始まりました。
ゴアレーベンでの地下探査活動は、連邦政府の1998年からの脱原子力への政策転換の影響を受けて、2000年10月から10年間にわたり凍結されていました。2010年11月に探査活動は再開されましたが、サイト選定の見直しを受けて2012年11月に中断、その後2013年7月のサイト選定法制定に伴って終了することになりました。
連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU:現BMUB の旧称)は、2009年7月に「発熱性放射性廃棄物の最終処分のための安全要件」を策定しました。この要件は2010年のゴアレーベン探査再開に先立ち、同年9月に一部改訂されました。
2010年8月には、BMU の委託を受けた施設・原子炉安全協会(GRS)が中心となって、2010年11月の探査活動再開までに得られたデータを基に、この安全要件に基づくゴアレーベンでの予備的安全評価を開始しました。しかし、2013年7月制定の「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(サイト選定法)により候補地であるゴアレーベンが白紙化されたことから、予備的安全評価の作業は中止されました。
ドイツでは今後、サイト選定法に基づく「高レベル放射性廃棄物処分委員会」が設置され、2015年末を目途として処分の安全要件や複数サイトの比較を前提としたサイト選定基準、選定手続きを検討していくことになっています。
6.2 処分事業の透明性確保とコミュニケーション
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2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(サイト選定法)では、新たに公衆や地元自治体等の参加を得ながら複数サイトから処分場建設地の候補を絞り込んでいくプロセスが導入されました。
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なお、このサイト選定の見直前に処分場候補地としてサイト特性調査が実施されていたゴアレーベンでは、実施主体の連邦放射線防護庁(BfS)や監督官庁である連邦環境・自然保護・原子炉安全省(現BMUB の旧称)が中心となって地元自治体等や住民に対する情報提供、対話などのコミュニケーション活動を実施していました。
サイト選定法」に基づく選定プロセスにおける公衆参加
「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(サイト選定法)では、まず国民各層の代表者33名で構成される「高レベル放射性廃棄物処分委員会」が2015年までの予定で、安全要件やサイト選定基準、サイト選定手続きの検討を行うことになっています(「IV. 処分地選定の進め方と地域振興」参照)。
選定手続きの開始後は、実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)が提案する複数の候補地域から、公衆参加プロセスを経て対象を絞り込むことになっています。サイト選定法において、これら手続きの期間を通じて、市民対話やインターネットなどのメディアを介して関連の情報発信・意見聴取を行うことを規定しています。
また、サイト選定に関わる以下のような重要な事項については市民集会を開催するほか、関係する州や地元自治体の参加の上で決定しなければならないとしています。
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候補地域、地上からの探査対象サイトの選定
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地上からの探査計画の策定
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地下での探査対象サイトの選定
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地下での探査計画の策定
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候補サイトの最終比較
◎連邦レベルでの参画
サイト選定基準や安全要件が決定した後、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMU)が、連邦レベルにおける国民意見反映のための組織として、国民のさまざまな層で構成される「社会諮問委員会」を設置することになっています。委員の任命には議会の承認が必要です。この委員会は選定手続きに関わるあらゆる文書にアクセスすることが可能で、手続きに対する勧告や見解を公表する役割を担います。
◎候補地域・候補サイト住民の参画
サイト選定手続きを監督する連邦放射性廃棄物処分庁(2014年に新設予定)は、検討対象地域やサイト所在地において、多くの人々が参加可能な形態の市民対話を設定することになっています。
また、検討対象地域や地元住民をサポートする組織として、処分庁が市民事務局を設置することになっています。市民事務局は独立の立場で、地域や地域住民に対し、手続きに関する専門的な助言を提供することになっています。
◎市民集会
市民集会は、2013 年のサイト選定法で新たに採り入れられた公衆参加手法です。集会は計画対象とされた地域内で開催されます。連邦放射性廃棄物処分庁は開催の2カ月前までに連邦官報や同庁のウェブサイト、地元日刊紙に開催告示を出し、最低1カ月間、関連する基礎資料を提示します。
市民集会の議事録にはその地域における公衆受容の度合いについても記載することになっています。連邦放射性廃棄物処分庁は、探査サイトや処分場サイトの検討を行う際に市民集会の結果を考慮しなければなりません。
過去のコミュニケーション活動(ゴアレーベン)
ゴアレーベン・ダイアログのウェブサイト
(探査中止に伴い、現在は提供中止となっています)
source: www.gorlebendialog.de
2013年のサイト選定法により探査活動が中止されるまで、ゴアレーベン地域において、連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU:現在の連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省)や、実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)が対話活動や情報提供を行っていました。
ゴアレーベンには1979年から情報センターが設けられていました。また、地元及び周辺自治体の議員で構成するゴアレーベン委員会が、実施主体のBfSや、BfSの委託を受けて現地の探査活動を実施していたドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)とのコミュニケーションのチャンネルの役割を果たしていました。
2010年にゴアレーベンの探査凍結が解除された際、BMUは探査活動を進める上で地元のステークホルダーや住民の参加プロセスの導入が重要との認識を示しています。BMUは同年、市民との対話活動「ゴアレーベン・ダイアログ」を開始しました。この対話活動では、探査活動や予備的安全評価について、専用のウェブサイトを設けて情報提供や意見募集を行ったほか、市民との対話集会などが開催されました。しかし、サイト選定の見直しに伴いゴアレーベンの探査が中止されたため、現在はこうした対話活動も中断されています。
6.3 意識把握と情報提供
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ドイツでは2013年4月にサイト選定法案が閣議決定された後、同年5月31日から3日間にわたり、法案について説明し議論する「市民フォーラム」がベルリンで開催されました。会場での議論に加え、インターネットを通じた意見聴取も実施されました。
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サイト選定の見直し前は、実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)やBfSの委託を受けて実際の調査作業を行っていたドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)がゴアレーベンに関する広報活動を実施していました。
サイト選定法に関する市民フォーラム
ドイツでは2013年4月に「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(サイト選定法)の法案が閣議決定された後、同年5月31日から6月2日の3日間にわたり、「サイト選定法に関する市民フォーラム」がベルリンで開催されました。このフォーラムでは連邦議会に所属する各政党の議員や処分事業関連の専門家らが出席し、公衆参加などの社会的側面から資金・技術面などサイト選定法案で扱われている多くの側面について説明し、市民と議論を交わしました。
フォーラムの模様は全てインターネットで同時中継され、録画画像は動画投稿サイトを通じて公開されています。会場での議論に加え、インターネットを通じた市民からの意見聴取も実施されました。
ゴアレーベンにおける広報活動(情報提供)
移動展示車両を用いた展示
source: BfS
ゴアレーベンでの探査が中止される以前は、処分の実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)が主に一般市民向け、BfSの委託を受けて実際の調査作業を行っていたドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)が主にサイト周辺住民向けの広報活動を実施していました。
プレスリリースや情報冊子、講演会の開催や見本市への出展に加え、ゴアレーベンには情報センターが設けられ、地下探査坑道の見学を組み込んだサイトツアーが実施されていました。2009年からは、移動展示車両で各地を巡回する情報提供活動も実施されました。