諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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-~~bc:4.処分地選定の進め方と地域振興~~+~~ShortTitle:4.処分地選定の進め方と地域振興~~
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 ==HLW:CA:chap4== ==HLW:CA:chap4==
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   *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</fs>   *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</fs>
   *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</fs>   *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</fs>
-  *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</fs>+  *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</fs>
   *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</fs>   *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</fs>
-  *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</fs> +  *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</fs>
-  *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</fs>+
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 {{:wiki:付箋ポイント.png?100&nolink|ポイント}} {{:wiki:付箋ポイント.png?100&nolink|ポイント}}
-  * NWMO は2010年から9つの段階で構成されたサイト選定プロセスを開始しました。23の自治体がプロセスに関心表明を行い、初期スクリーニングをパスした22自治体の多くで第3段階前期の予備的評価が進行中です。早くに関心表明を行ったところではNWMOが2013年11月に中間評価を完了し、一部の自治体を地層処分場の設置候補から外す絞り込みがなされました。+  * NWMO は2010年から9つの段階で構成されたサイト選定プロセスを開始しました。22の自治体がプロセスに関心表明を行い、初期スクリーニングをパスした21自治体の多くで第3段階前期の予備的評価が進行中です。早くに関心表明を行ったところではNWMOが2013年11月に中間評価を完了し、一部の自治体を地層処分場の設置候補から外す絞り込みがなされました。
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 ===== 処分地選定の進め方 ===== ===== 処分地選定の進め方 =====
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 NWMOは、これらの活動において収集した意見を含めて計画案の最終化を進め、2010年5月に9つの段階で構成されるサイト選定プロセスを含むサイト選定計画の最終版『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』を公表するとともに、プロセスの第1段階を開始しました。 NWMOは、これらの活動において収集した意見を含めて計画案の最終化を進め、2010年5月に9つの段階で構成されるサイト選定プロセスを含むサイト選定計画の最終版『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』を公表するとともに、プロセスの第1段階を開始しました。
  
-<WRAP clear></WRAP>+<WRAP clear/>
  
 ===== サイト選定における実施主体の行動原則 ===== ===== サイト選定における実施主体の行動原則 =====
行 97: 行 96:
 ===== 9段階のサイト選定プロセス ===== ===== 9段階のサイト選定プロセス =====
  
-NWMOによるサイト選定プロセスは下の表に示すように、9つの段階で構成されています。+NWMOが進めているサイト選定プロセスは下の表に示すように、9つの段階で構成されています。
 このサイト選定手続きは、手続きに関する情報を求める自治体や地域を公募し、地層処分プロジェクトに対し関心表明を行った地域の中から処分場候補地を選定していくものです。 このサイト選定手続きは、手続きに関する情報を求める自治体や地域を公募し、地層処分プロジェクトに対し関心表明を行った地域の中から処分場候補地を選定していくものです。
 NWMOは、プロセスに参加する地域や自治体は、第6段階において処分場の受け入れに関する最終的に同意するまで、プロセスから撤退できるとしています。 NWMOは、プロセスに参加する地域や自治体は、第6段階において処分場の受け入れに関する最終的に同意するまで、プロセスから撤退できるとしています。
行 103: 行 102:
 NWMOは、サイト選定における検討事項として安全性を確保するための基準のほか、社会、経済、文化等の安全性以外の要素を評価するための基準も提示しています。後者の要素は、NWMO がプロジェクトに関与する自治体の長期的福祉または生活の質の向上を目指していることを反映したものです。 NWMOは、サイト選定における検討事項として安全性を確保するための基準のほか、社会、経済、文化等の安全性以外の要素を評価するための基準も提示しています。後者の要素は、NWMO がプロジェクトに関与する自治体の長期的福祉または生活の質の向上を目指していることを反映したものです。
  
-**9段階で構成されるサイト選定プロセス** 
 {| style="font-size:90%; line-height:1.5; background-color:#F5FAE8;" {| style="font-size:90%; line-height:1.5; background-color:#F5FAE8;"
 +|+**<fs 120%>9段階で構成されるサイト選定プロセス</fs>**\\ <wrap lo>『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)より</wrap>
 | style="width:4em; background-color:#BBDA41; color:white;"| 準備段階 | style="width:4em; background-color:#BBDA41; color:white;"| 準備段階
 | NWMOは、その活動に関して、州政府、連邦政府、様々な先住民族組織(国と州レベルの組織)及び規制機関に説明した上で、最終版としたサイト選定計画を公表する。 | NWMOは、その活動に関して、州政府、連邦政府、様々な先住民族組織(国と州レベルの組織)及び規制機関に説明した上で、最終版としたサイト選定計画を公表する。
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 | 地層処分場と地上施設の建設・操業 | 地層処分場と地上施設の建設・操業
 |} |}
 +
 +  * <wrap lo>実際のサイト選定プロセスでは、第3段階は前期と後期(第1・第2フェーズ)に分けられました。机上調査を行う前期(1~2年)と現地調査を行う後期(3~4年)の間で、後期の調査を実施する自治体の絞り込みがなされています。</wrap>
  
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 地層処分場のサイト選定プロセスは、2010年5月から開始されました。[[#9段階のサイト選定プロセス]]は、自治体がたどる段階を示す形となっており、プロセスに参加している自治体によって、現在の段階数が異なります。 地層処分場のサイト選定プロセスは、2010年5月から開始されました。[[#9段階のサイト選定プロセス]]は、自治体がたどる段階を示す形となっており、プロセスに参加している自治体によって、現在の段階数が異なります。
-自治体がNWMOに対して「知識を深めることの関心表明」を行うことで第2段階がスタートします。2012年9月末までに23の自治体が関心表明を行い、NWMOは既に受け付けた自治体の調査や対応に注力するためにサイト選定計画への関心表明の受付を一時中断しました。+自治体がNWMOに対して「知識を深めることの関心表明」を行うことで第2段階がスタートします。2012年9月末までに22の自治体が関心表明を行い、NWMOは既に受け付けた自治体の調査や対応に注力するためにサイト選定計画への関心表明の受付を一時中断しました。
  
 <WRAP rss right box 320px> <WRAP rss right box 320px>
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 </WRAP> </WRAP>
  
-第2段階では、関心表明を行った自治体全域を対象として、既知の情報に基づく初期スクリーニング実施されます。 +第2段階では、関心表明を行った自治体全域を対象として、NUMOが既知の情報に基づく初期スクリーニング実施ます。 
-右に示す5項目の基準により、以後の検討か当該自治体が除外されるかどうかを評価ます。 +右に示す5項目の基準と照らした結果、関心表明を行った22自治体のうち1自治体では、地層処分場の母岩として潜在的に適する地層含む可能性が低いことからサイト選定プロセスがないことからサイト選定プロセスから除外されました。初期スクリーニングをパスした21自治体は、2014年末までにいずれも第3段階に進むことを望みました
-NWMOは関心表明を行った23自治体のうち1自治体を除き、サイト選定プロセスの以後の検討から除外するような明らかな条件は見つからなかっとしています。初期スクリーニングの結果受けて、自治体が次の段階へ進むかどうかを判断します。2013年末までに21自治体が第3段階に進むことを望み、1自治体が検討中です+
  
 第3段階では、使用済燃料の処分プロジェクトを受け入れに関する自治体の潜在的な適合性の予備評価が実施されます。主な検討事項は、①人間及び環境に対する安全性とセキュリティ、②地域の福祉、③地域がプロセスに残留する可能性、④周辺地域の福祉です。 第3段階では、使用済燃料の処分プロジェクトを受け入れに関する自治体の潜在的な適合性の予備評価が実施されます。主な検討事項は、①人間及び環境に対する安全性とセキュリティ、②地域の福祉、③地域がプロセスに残留する可能性、④周辺地域の福祉です。
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 サイト選定プロセスの第3段階の調査にあたり、NWMO は当初の計画を修正して、前期と後期(第1・第2フェーズ)に分けました。机上調査を行う前期(1~2年)と現地調査を行う後期(3~4年)の間で中間評価を行い、後期を実施する自治体の絞り込みがなされます。 サイト選定プロセスの第3段階の調査にあたり、NWMO は当初の計画を修正して、前期と後期(第1・第2フェーズ)に分けました。机上調査を行う前期(1~2年)と現地調査を行う後期(3~4年)の間で中間評価を行い、後期を実施する自治体の絞り込みがなされます。
  
-2013年11月にNWMOは、[[nf>p=10861|早くに関心表明を行っていた8自治体を対象行っていた第1フェーズの評価完了]]させ第2フェーズ調査行う4自治体を選定しましたNMWOは、地層処分場のサイト選定プロセスに対する8 地域これまでの貢献高く評価、地元の福祉向上のめに独に利用できる資金として、それぞれ40万カナダドル(3,760万円)提供する予定です。+NWMOは自治体の要請より、第3段階第1フェーズの調査過程で地層処分場の立地見通しが低いこと示唆する情報を得た場合には早めに当該自治体に通知てい自治体側からサイト選定プロセスから撤退決定した自治体も1つあります。
  
-NWMOは第3段階に進む意思を表明している12地域については、2014に第3段階第1フェーズの作業を完了させる予定です+201510月サイト選定プロセスへの参加が最も遅かったセントラルヒューロン自治体での第3段階第1フェーズの調査が完了し、結果として11自治体が第3段階第2フェーズに進む結果となりました
  
 +その後NWMOは2015年3月に、空中物理探査などの現地調査の結果から地質構造が複雑であり、
 +地下に多くの亀裂があることから立地見通しが低いと判断された2自治体(下図中③⑦)を除外しました。
  
 +2017年6月には、ボーリング調査など地質工学的な調査を進めていく上で、
 +当該地域の住民に十分な信頼感を与えるほどには関心・学習を拡大できなかったとして、
 +さらに2自治体(下図中⑩㉑)を除外しました。
 +また、2017年12月に、現地調査枠内でボーリング調査を計画するなかで、
 +調査対象エリアへのアクセスが地形の起伏が激しいために困難である2自治体(図中⑫⑬)を除外しました。
 +現在、オンタリオ州の5自治体がサイト選定プロセスに残っており、一部の自治体ではボーリング調査が進められています。
  
 <WRAP rss> <WRAP rss>
 **サイト選定プロセスに参加している自治体の位置** **サイト選定プロセスに参加している自治体の位置**
-{{popup>:hlw:ca:site-selection-map.png?nolink}}+{{:hlw:ca:site-selection-map.png?direct|(2017年12月時点)}} 
 + 
 +/* {{popup>:hlw:ca:site-selection-map.png?nolink}} */
  
 <WRAP box> <WRAP box>
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- +<WRAP clear/>
-**サイト選定プロセスに参加している自治体(計 21)**(2013年12月20日時点) +
-^  第2段階  |  1  ^  第3段階  |  20  | +
- +
-{{obj:pdf 100%,300px > http://www2.rwmc.or.jp/parts/ca-sitingprogress-2013-10-08.pdf}} +
- +
- +
-==== サイト選定に係わる法制度 ==== +
- +
-カナダの核燃料廃棄物処分場のサイト選定は、核燃料廃棄物法に基づいて検討、決定した使用済燃料管理の長期的なアプローチの一環として実施されており、特にサイト選定方法やプロセスを規定した法令は存在しません。しかし、「連邦の環境評価プロセスの確立のための法律」(1962年6月23日)に基づいて、放射性廃棄物処分場を含む原子力施設の建設に際しては環境アセスメントが実施されることになっています。 +
- +
- +
- +
-<WRAP clear></WRAP>+
 \\ \\
 {{anchor:c2}} {{anchor:c2}}
行 198: 行 195:
   * カナダでは地域振興を目的とする法的枠組みはありません。しかしながら、使用済燃料の処分実施主体であるカナダ核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、処分事業は自治体及び地域の長期的な福祉や生活の質を向上させるように実施する考えです。   * カナダでは地域振興を目的とする法的枠組みはありません。しかしながら、使用済燃料の処分実施主体であるカナダ核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、処分事業は自治体及び地域の長期的な福祉や生活の質を向上させるように実施する考えです。
 </WRAP> </WRAP>
-<WRAP clear></WRAP>+<WRAP clear/>
  
 ===== 地元の長期的福祉への貢献 ===== ===== 地元の長期的福祉への貢献 =====
行 211: 行 208:
  
  
-<WRAP clear></WRAP>+<WRAP clear/>
  
 \\ \\
行 234: 行 231:
   *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</fs>   *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</fs>
   *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</fs>   *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</fs>
-  *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</fs>+  *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</fs>
   *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</fs>   *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</fs>
-  *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</fs> +  *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</fs>
-  *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</fs>+
 </WRAP> </WRAP>
  
hlw/ca/chap4.txt · 最終更新: 2018/05/02 15:34 by sahara.satoshi